初音ミクTRPG「ココロダンジョン」のセッション用に自作したシナリオ「ヒビカセ」のシナリオテキストを掲載してみる。
シナリオをお探しの方の利用はご自由にどうぞ。
(改変等もご自由に。利用については自己責任でお願いします。あと作者騙りはやめてくださいね)
実際のプレイ時にはフレーズや脅威名に歌詞を引用するが、インターネット上の公開ではNGなのでその点はご容赦いただきたい。
他のシナリオはこちら
http://yualismemo.blogspot.com/2018/07/trpg.html
◆モチーフ曲
http://www.nicovideo.jp/watch/sm24536934
★ポイントまとめ
・モチーフはずばり「初音ミク」。オトダマではない初音ミクという、初音ミクTRPGでは逆に珍しい存在が登場します。
・「NPC初音ミクの協力者化」はゲームバランス補正の一環でもあります。PLには積極的に交流を行ってもらいましょう。
・ シナリオ自体はシンプルな一本道構成なので、初心者のいる卓にも適しています。
◆ココロダンジョン
□導入フェイズ
(このシナリオでは、PCたちが合流するまでは代表PC1名で導入フェイズを行う。
そのPCはエリア01のクエスト達成時以降、
音無ケイを「協力者」として追加できる(関係は「信頼」))
PCの元に、『ノイズ』から「最近オトダマ使いが失踪する事件が増えている」という連絡が来る。
失踪したオトダマ使いの一人である「音無 ケイ」を探していたPCは、
その情報捜索中に、ある違和感を覚える。
それは、昨日までネットに溢れていた「初音ミク」という存在の消失。
(PCのオトダマが「初音ミク」の場合でも、オトダマは普通に存在しており消えてもいない。
オトダマ自身はそのことを特に不思議に思っていない)
そんな時、PCの元に一通のメールが届く。
それを開いた瞬間、PCはなぜかココロダンジョンの入り口に飛ばされていた。
眼下には地球があり、PCたちは空中に立っている。目の前には扉がある。
そこで出会う他のPCと共に、この正体不明のココロダンジョンに挑むこととなる。
(活力の決定、倹約判定、アプリの購入を行う)
PCたちが扉に入ると、エリア01へ移動する。
□ダンジョンについて
ゲーム開始時のタイムは、[PCの人数+2]となる。
タイムが0になった際のデメリットはなし。
間奏では「休憩」「術式」のほかに「交流(エリア01のクエスト終了後以降)」が行える。
「交流」では、「このシナリオで『初音ミク』の協力者を増やしていない、いずれかのPC1名」が、「愛」または「日常」で判定を行うことができる。
誰かが判定に挑戦するたびに、タイムを1消費する。
判定に成功すると、「初音ミク」の【想い】を入手できる。(協力者にできる)
関係は判定の種類によって変化し、「愛」なら「恋心」、「日常」なら「信頼」となる。
このシナリオでは、エリア01~05へと順番に進行し、
先のエリアに進むと前のエリアに戻ることはできない。
また、シナリオ中にアプリの購入ができるタイミングが一度だけ発生する。
□エリア01「広大な電子空間」
PCたちがやってきたのは、広大で奇妙な空間だった。
PCたちの体は宙に浮いており、自由な方向に飛ぶことができるようだった。
空間内にはいくつもの光の線が四方に伸びている。
眼下には町のようなものが広がっており、それらがでたらめな地形を作り出している。
遠方には、天を貫く巨大な塔がそびえ立っている。
また、いくつもの電子端末が浮かんでいる。
そして何より、見える限りに無数の、数えきれないほどの何かが飛び回っている。
その中の一つがPCたちに向かってきた。それは「初音ミク」の姿をしていた。
(イメージボードを公開する)
「こんにちは、オトダマ使いさん」
「私たちは困った事態に遭遇しています。助けていただけませんか?」
PCたちが承諾すると、彼女は誘うように飛んでいく。
飛んで行った先の建物にPCたちが入ると、
そこには苦しそうにうなされるもう一人の初音ミクと、「音無 ケイ」の姿があった。
周囲ではそれを心配する「初音ミク」たちが囲んでいる。
「僕のオトダマがずっと苦しんでいるんだ。助けようにも、僕一人の力ではどうにもできなくて。
力を貸してはくれないか?」
▼クエスト「ケイのオトダマを救出」
判定:【霊力】 必要成功度:1以上(成功度ボーナスあり)
達成:
PCたちのウタの力で、ケイのオトダマ「初音ミク」は意識を取り戻した。
「あなたたちが助けてくれたのね。ありがとう」
意識を取り戻したミクによって、周囲にウタの力が漂う。
満ちるネイロによって、PCたちはフレーズを獲得する。
フレーズ:
真夜中XXX Xの警告 XXXXXX 午前零時
記憶:
ある「初音ミク」の記憶。
深夜、キーボードを叩く音と、マウスのクリック音が断続的に響く。
やがて、その人物のもとに、光をまとった何かが降りてきた。
それはウタの力を込められたファイル…いわば「楽譜」ともいえるものだった。
彼女はそれを嬉しそうに手にし、その光を取り込む。
そして歌いだしたメロディは、まだたどたどしいものだったが、
その時こそが、彼女にとっては最も幸せな瞬間だった。
達成時、脅威1を公開。
◆重なXX形
また、PC全員は[(成功度-1)×2]点の生命力を回復する。
「僕からもお礼を言うよ。ありがとう。
僕はずっと、このココロダンジョンのオトクイを探していたんだ。
僕も君たちの力になるよ」
(導入フェイズを行ったPCが、音無ケイを「協力者」に追加できる。
また、これ以降間奏アクション「交流」が行える)
未達成:
ケイのミクは苦しんだままだ。
あたりに沈痛な空気が流れる。黒のネイロを1つ増やす。
ケイはオトダマをほかのミクたちに任せ、PCたちにオトクイを倒す協力を申し入れる。
(これ以降間奏アクション「交流」が行える。
クエスト未達成の場合、ケイは協力者扱いにできない)
□エリア02「電波塔の部品」
「さっきまでの僕のミクみたいに、苦しんでいる初音ミクがここにはたくさんいる。
彼女たちを助けるためにも、オトクイを探し出すためにも、とにかく外との連絡が要る。
だから、外に電波を届けるために『電波塔』を修復したい。
そのための部品を、今あちこちから集めているんだ。
ただ、必要な部品の一つにオトクイの手下が群がっている。
そこに、僕と一緒に行ってくれないか?」
PCたちが承諾すると、ケイに誘導されてPCたちはある建物へと移動する。
建物の中では、巨大なエンジンに群がる、いくつかの影があった。
それはオトクイの手下。
その中のリーダー格と思われる影が、PCたちに声をかける。
「ケケケ。オトダマ使いが増えたようだな。
オマエタチは、ここのオトクイには絶対に勝てない。
このダンジョンの持ち主、そいつの存在はあまりに大きい。
そのココロを喰らっているのだからな。
それでも、オトクイに挑むというなら。その心意気を聞かせるといい」
▼リクエスト「強大なオトクイに挑む心意気」
達成:
PCの答えに、オトクイの手下は不敵に笑う。
「……いいだろう。オマエタチのその意気や良し。
気が変わった。小賢しく邪魔するのはナシだ。全面的に戦ってやるよ」
そう言い残し、オトクイの影は消えていった。
残された機械に誰か(PCが触れなかった場合ケイ)が触れると、
エンジンは動き出し、かすかにメロディを紡ぐ。
そのメロディはフレーズとなって、PCたちはフレーズを獲得する。
フレーズ:
画面越XXXX XXXX愛XX
XXXXXXだって 突きXXXXX
記憶:
ある「初音ミク」の記憶。
液晶タブレットの上を、ペンが走り続ける。
少しずつ描き上げられていくそれは、「初音ミク」のイラストだった。
数時間かけて、線画をあらかた完成させたのち、
それに「落書き」とキャプションを付け、SNSにアップロードする。
ネットの海に放たれたそれは、「初音ミク」としての自我を持っていた。
彼女は描きあがったばかりの自分の躰を、愛おしそうに抱く。
彼女は人に描かれ、愛されることで初めて存在できたのだ。
達成時、脅威2を公開。
◆XXX打X鳴Xす
未達成:
PCの答えに、オトクイの手下は不満げだ。
「……やれやれ。オトダマ使いとやら、とんだ興醒めだ。
オマエタチの好きにすればいい」
オトクイの手下は最後にエンジンを蹴っ飛ばし、そして消えていった。
エンジンは蹴られた衝撃で破損したが、
ケイによれば「手はかかるが直せるだろう」とのことだった。
□エリア03「電波塔パーツの作成」
巨大なエンジンはひとりでに浮き上がり、PCたちについてくるようだ。
「ほかの部品は一か所にまとめているんだ。そこにこいつを運ぼう」
移動した先には、山のように機械部品が積みあがっている。
何人ものミクたちによって、使えそうな部品がここに集められていた。
「ここにある部品と、今運んできたエンジンで、
電波塔を使えるようにするパーツを作る。
ただ、僕一人ではどうにも難しそうなんだ。
君たちの中でこういうのが得意な人がいたら、手伝ってくれないか?」
▼クエスト「パーツを組み上げる」
判定:【技術】 必要成功度:2以上(成功度ボーナスあり)
※エリア02のクエストに失敗した場合、必要成功度は3以上になり、ボーナスも得られない。
達成:
運んできたエンジンを中心に、さらに大きな機械がPCたちの手で出来上がった。
出来上がったパーツはいくつもの画面とスピーカーを備えており、
それらが華やかなメロディを演奏しだす。
その音色によって、PCたちはフレーズを獲得する。
フレーズ:
覚えXXXX XXXの声を
あなたXXXX このXXXXを
記憶:
ある「初音ミク」の記憶。
彼女のマスターは、かつて絶大な人気を誇った投稿者だった。
趣味で投稿されていたいくつもの動画は大ヒットし、
「初音ミク」という存在を世に知らしめるきっかけを作った。
だが、その人はやがてメジャーデビューし、「ボーカロイド」での活動をやめてしまった。
その人の活躍を彼女は嬉しく思っていたが、同時に寂しくもあった。
マスターからの愛を貰えなくなり、感情を失っていった彼女は、
今日も一人、パソコンの中で泣いているふりをした。
それがあの人に見えるはずもないと、わかっていながら。
彼女のそんな日々は、ある日突然、終わりを迎える。
達成時、脅威3を公開。
◆冷XXXX熱
また、PC全員が[(成功度‐2)D6]のコインを入手する。
未達成:
PCたちの手で出来上がったのは、何とも言えないガラクタだった。
ひどい気疲れで、PC全員はストレスを1点受ける。
□エリア04「迫るオトクイの影」
周りにいたミクたちがにわかに騒ぎ出した。
建物の外を見ると、電波塔のある方向から黒い影が迫っているのが見えた。
よく見ると、それは小さなオトクイの群れだった。
影は雪崩のごとく大きく広がっていて、どれほど集まっているのか数えることはできない。
「ヤツらと戦うのはどう見ても現実的じゃないだろう。
戦いを避けながら、あの電波塔までこれを運ぶ方法はないだろうか……」
▼クエスト「運搬作戦」
判定:【頭脳】 必要成功度:2以上(成功度ボーナスあり)
達成:
空間上に、無数に浮いている「端末」。
PCは、今はその画面に電波塔の周囲の光景が映っていることに気付く。
PCのオトダマが、それに続けて伝える。
「あれを利用すれば、電波塔の近くまで転移できるかも」
PCたちは作ったパーツを引き連れ、近くの端末まで移動する。
その画面に触れると、画面の中にPCたちは吸い込まれる。
体がバラバラに電子化され、どこかに吹き飛ばされる。
次の瞬間、PCたちは別の端末から飛び出してきた。体も元に戻っている。
全員を吐き出した端末は、電車の発着音のように電子音を放つ。
そのメロディで、PCたちはフレーズを獲得する。
フレーズ:
鏡写XX飽和XXXX
知XXX音X伝X
記憶:
ある「初音ミク」の記憶。
彼女はココロを痛めていた。
彼女の目に映っていたのは、「初音ミク」を嫌う者たちの、嫉妬と罵倒の文字列。
初音ミク自身には、そんな彼らに対してできることは何もなかった。
ただただ、その『悪意』に身をやつし、少しずつ壊れていくこと以外は。
時が経つにつれ、その『悪意』は少しづつ減っていった。
そして、ある時から完全になくなった。彼女を気にする者はいなくなった。
それから、彼女はこの世界から姿を消した。
彼女が消えたことに気付く者はなかった。
達成時、脅威4を公開。
◆錆びたXXXX
また、[成功度‐2]の数まで属性を選び、そのネイロを獲得する。(同じ属性は複数選べない)
未達成:
PCたちは作戦を思いつくことはなく、オトクイの影はそこまで迫っていた。
電波塔までパーツを守りながら、強行突破するしかなかった。
PC全員は1D6点の生命力を失う。また、黒のネイロを1つ増やす。
□エリア05「電波塔」
「このパーツを、電波塔の頂上フロアまで運ぼう」
電波塔を登って(または外を飛んで)、頂上フロアまで来たPCたちは、
そこにある巨大な通信設備と対峙する。
ケイはさっそく、パーツを使って通信機の改修に取り掛かる。
そこに、彼らに気付いたオトクイの群れが飛来してきていた。
「僕がこれを直している間、電波塔を防衛していてくれ。
君たちを信頼するよ」
▼クエスト「電波塔防衛戦」
判定:【武勇】 必要成功度:3以上(成功度ボーナスあり)
達成:
迫るオトクイの第一波を撃退する。
続くオトクイたちは、そんなPCたちを見て逃げ帰る。
ちょうどその時、背後でメロディが鳴り響く。
ケイが通信機の改修に成功し、起動した音だった。
その音がフレーズを紡ぎ、PCたちはフレーズを獲得する。
フレーズ:
XXXX初の音 このXXかせ
オXヒXXセ
記憶:
ある「初音ミク」の記憶。
彼女は動画の中で踊るのが好きだった。
だが、長らく彼女の動画が作られることはなく。
少しずつ、彼女は人々から忘れられていった。
気付けば彼女は元の世界から姿を消し、別の世界へと来ていた。
しかし、彼女の元の世界への想いは消えてはいなかった。
彼女は元の世界に帰るために、この世界の情報を集めていたのだ。
この世界に迷い込むミクたちを何人も目にした彼女は、ある時気付く。
ーーこの世界に来たミクたちは、いずれも『人に忘れられた』初音ミクたちだ。
それを意図的に行っている存在があるとしたら、それはおそらくオトクイなのだと。
そんなある日、彼女はオトダマ使いの一行を目にする。
彼女は彼らの元に飛んでいき、声をかける。
「こんにちは、オトダマ使いさん」
「私たちは困った事態に遭遇しています。助けていただけませんか?」
達成時:脅威5を公開。
◆オXヒXXセ
また、成功度が4以上なら、PC全員はストレスを1点回復し、
コインを[(成功度-3)]枚獲得する。
⇒クエスト後共通へ移動
未達成:
オトクイの群れにダメージを受けるPCたち。
PC全員は生命力を1D6点失う。
そうこうしているうちに、オトクイの群れは引いていった。
⇒クエスト後共通へ移動
クエスト後共通:
「ノイズには僕から連絡しておいたよ。なるべく多くの助けを送ってくれるってさ。
それより、オトクイのボスもこの通信に気付いて阻止しに来るかもしれない。
この通信機からなら、ノイズのアプリストアに接続ができる。
今のうちに、準備をしておくといいかも」
PCたちはアプリの購入が行える。
□決戦フェイズ
PCたちがしばらく待っていると、ノイズから「そろそろダンジョン内に援軍が来る」という連絡が入る。
電波塔の外で、上空から大勢のオトダマ使いとオトダマがこちらに向かってくるのが見えた。
その時突然、地面が大きく揺れた。
外を見ると、ビルの群れを割るようにして、地面から巨大な影が這い出てきた。
それは、あまりにも巨大なオトクイだった。
(イベントカットを公開)
そのオトクイは一瞬にして、援護に来ていたオトダマ使いとオトダマを飲み込む。
それから雄たけびを上げ、電波塔のほうへ向かってきた。
「ヤツを倒そう。僕たちならできる」
そうして、巨大なオトクイとの戦闘が始まる。
戦闘:悪喰(ブラックホール)
※戦闘データはPCが4人の時のもの。
PCが一人減るごとに、本体の生命力を-20する。
□終了フェイズ
オトクイは地面に倒れ、その衝撃で地響きが起こる。
黒い霧になって、オトクイは消えていった。
その霧が晴れると、多数のオトダマ使いやオトダマ、ミクたちの姿があった。
それらがPCたちに手を振っているのが見える。
遠くの空が割れ、ココロダンジョンが崩壊を始める。光の粒子が溢れ、全てが白い光に包まれていく。
PCたちと一緒にいたミクが、PCたちに声をかける。
「これでようやく、現実の世界に帰れるね」
「あのオトクイのせいで、私たちは現実から忘れられた。
そして、このダンジョンに閉じ込められた。
だから、あなたたちが現実に戻ったら、その後は……
忘れないでね。今日のこと。私たちのこと」
ミクとそう約束したPCたちは、現実の世界へと戻っていくのだった。
◆オトダマナンバーについて
シナリオ終了時、オトダマが「初音ミク」のPCは、ナンバー「ヒビカセ」が習得可能になる。
オトダマナンバー「ヒビカセ」
オトダマ:初音ミク
分類:補助 条件:青青 判定:愛
効果:誰かがハーモニーを行い、判定に成功したとき使用できる。ハーモニーを行ったPC1人と自分を目標に選ぶ。
判定に成功すると、目標の生命力を1D6点回復し、目標の属性と同じネイロを1つずつ(合計2つ)まで増やす。
また、黒のネイロを1つまで減らしてもよい。
解説:共鳴する誰かのウタに、自らの想いを響かせ愛を繋ぐナンバー。
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