2021年8月19日木曜日

初音ミクTRPG「ココロダンジョン」自作シナリオ『アンビバレンツ』テキスト全文

初音ミクTRPG「ココロダンジョン」のセッション用に自作したシナリオ「アンビバレンツ」のシナリオテキストを掲載してみる。
シナリオをお探しの方の利用はご自由にどうぞ。
(改変等もご自由に。利用については自己責任でお願いします。あと作者騙りはやめてくださいね)

実際のプレイ時にはフレーズや脅威名に歌詞を引用するが、インターネット上の公開ではNGなのでその点はご容赦いただきたい。



他のシナリオはこちら
http://yualismemo.blogspot.com/2018/07/trpg.html


◆モチーフ曲

 

★ポイントまとめ

・PCと恋仲にあるNPCとの関係性を描いたシナリオです。やや性的な示唆を含む表現があります。

・「与えられた情報から、PCが望む真実への構築」が主軸になっています。

・主役にするのはぜひとも掘り下げ甲斐のありそうなPCにしましょう。ちなみに性別は問いません。

 

◆ココロダンジョン

このシナリオの初期タイムはPCの数と同じ。
タイムを1消費することで「休憩」「術式」「交流」「合唱」が行える。
すべてのフレーズを獲得する前にタイムが「0」になった場合、
強制的に決戦フェイズに移行する。

また、このシナリオで登場する「情報カード」に対して
「調査」を行うことはできない。



 □導入フェイズ

PCの中からランダムで「NPCと恋仲になるPC(以下「恋仲PC」と呼ぶ)」をランダムに1名決める。

(恋仲PCに情報カード[プライベート]を公開する。内容は以下の通り。
◆表
まだ誰にも打ち明けていない秘密が、ココロに潜んでいる……。
◆真実
あなたには大事な人がいる。
「相浦アカネ」という女性だ。年齢はあなたより少し年上である。
彼女のことを、この場にいるPCたちに話したことは一度もない。
おぼろげに覚えている限りでは、彼女とは昨夜は一夜を共にしていたはずだが、
あなたは今、他のPCに先んじてココロダンジョンの中にいる。
あなたの昨夜以降の記憶はすべて失われている。
きっとあなたは今、彼女のココロを探すためにここに来ている……。
◆トリガー
「絵画に浮かぶ記憶」が公開されて以降、この真実を公開してもよい。
この情報カードを公開した時、あなたの協力者に「相浦アカネ」を追加する(関係は「恋心」)。)

 

それ以外のPCは、オトダマに引っ張られる形で「オトクイの気配」を追い、
路地裏に倒れている人物を発見する。

(それ以外のPCに情報カード[パブリック]を公開する。内容は以下の通り。
◆表
それは一目瞭然な事実。それが示すものとはいったいなんだろう?
◆真実
路地裏に倒れていたのは、情報カード[プライベート]を見たPCだ。
その人と昨夜以降に会った人物は、あなたたちの中にはいない。
その人のココロはオトクイによる襲撃でひどく傷付いている。
もしココロダンジョン内でその人に会うことがあった場合、
「ここはあなたのココロダンジョンだ」という事実は伏せておくべきだろう。
最悪の場合、それがきっかけでココロが壊れてしまう危険がある。
◆トリガー
「彫刻が示す記憶」が公開されて以降、この真実を公開してもよい。)

 

侵入したココロダンジョン内で、PCたちは合流を果たす。
活力の決定、倹約判定、アプリの購入を行う。


 □エリア01「屋敷の中へ」

PCたちが立っている場所の目の前には、大きな建物がある。

あたりは暗く、建物内からの明かりと広場の街灯だけが闇に浮かんでいた。
周囲には光の粒子のようなものが浮いている。
館の扉は閉まっているが、PCたちがそれを調べたとき、
恋仲PCはなぜか自分がその鍵を持っていることに気付く。
ただし、鍵を差してもなぜか回らない。
何か不思議な力が作用しているようだ。

  ▼クエスト「鍵を回すには?」
判定:【霊力】 必要成功度:1以上(成功度ボーナスあり)

達成:
何かに反応するように、鍵は不意に回った。
重い音を立てて、扉はひとりでに開いていく。
館の中は薄暗く、妖艶なシャンデリアの灯だけが仄かに照らしている。
扉が開き切り、PCがロビーに入ったタイミングで館内放送がかかる。
その優雅なBGMによって、PCたちはフレーズを獲得する。
それと同時に、周囲の粒子が少し増える。
成功度が2以上なら、恋仲PCの【霊力】のダイス数分コインを獲得する。
また、そのフレーズを聞いたPC全員が記憶を垣間見る。
脅威①を公開する。
マップを公開する。

フレーズ:
あの日のふたりXXXXXX
XXXX瞬間(えいえん)

記憶:
「私は、あなたと一緒にいたい」
静かな決意のこもった声が、かすかに発せられる。
永遠とも思えるしばしの静寂の後、先に口を開いたのは――


ロビーからは、吹き抜けの大広間に出ることができる。
⇒エリア02へ

未達成:
鍵は回らない。
無理に力を入れた拍子に、鍵は真っ二つに折れてしまった。
PCたちは力ずくで扉をこじ開ける。
PC全員が「能力値とナンバーにひとつずつ」ストレスを受ける。

ロビーからは、吹き抜けの大広間に出ることができる。
⇒エリア02へ



 □エリア02「吹き抜けの大広間」

その大広間の中央には、大きな花弁のようなものが浮かんでいる。
花弁は向こうが透けて見える状態であり、PCたちが触れることはできない。
オトダマによれば「ウタの力が欠けているせいで不安定な状態」であるらしい。

この部屋からは「絵画の間」「彫刻の間」のふたつの部屋に移動することができる。


その花弁の中には誰かの人影があるようだが、
その人物はどうやらこちらを視認することができずにいるようだ。



 □エリア03「絵画の間」

「絵画の間」には、いくつもの絵画が飾られていた。
それらの絵には、共通して恋仲PCとよく似た女性(男性)の姿が描かれている。
順路に沿ってそれらの絵を辿っていくと、
その最後の絵だけ、何もなく真っ白のキャンバスが飾られているだけだった。
恋仲PCがそれに触れることで、少しだけキャンバスに色が宿る。
「このキャンバス、私たちのココロのウタに反応しているのかも」
とオトダマが教えてくれる。

  ▼クエスト「空白のキャンバス」
判定:【愛】 必要成功度:2以上(成功度ボーナスあり)

達成:
PCたちとオトダマのウタの力に呼応して、キャンバスに絵が浮かんでくる。
浮かんできたのは、並んで座る恋仲PCと女性(相浦アカネ)の絵だった。
それが浮かぶと同時に、館内放送がかかる。
流れだしたBGMによって、PCたちはフレーズを獲得する。
それと同時に、周囲の粒子が少し増える。
成功度が3以上なら、恋仲PCの【愛】のダイス数分ネイロを獲得する。
また、そのフレーズを聞いたPC全員が記憶を垣間見る。
脅威②を公開する。

フレーズ:
優しく甘い夜にXXXX
XXXXXXXXで
生きてるとXXXXX

記憶:「絵画に浮かぶ記憶」
「私ね、今が一番幸せだよ」
横たわる(恋仲PC)の背に、相浦アカネの腕が回る。互いの素肌を通じて、心音が響いてくる。
「あなたと一緒にいるのが、私の一番の幸せ」
その心音の奥から響いてくるのは、あたたかな、彼女自身の『ウタ』だった――。

未達成:
宿った色が、見る見るうちに消えていく。
黒のネイロがひとつ増える。
このクエストに再挑戦するか、別のエリアに移動できる。



  □エリア04「彫刻の間」

「彫刻の間」にはいくつかの石膏像が飾られている。
その中央には、「小さな怪物が人の心臓を食い破る光景」が石膏像で展示されている。
石膏像からは黒い靄が滲んでおり、わずかに動いている。
オトダマ曰く「オトクイの力の残滓のよう。私たちならそれを消せるかも」とのことだ。

  ▼クエスト「影宿る石膏像」
判定:【日常】 必要成功度:2以上(成功度ボーナスあり)

達成:
石膏像の靄が霧となって消える。
石膏像は光に包まれ、やがてその光が収まる。
そこにあったのは、恋仲PCとよく似た石膏像だけだった。
それと同時に、館内放送がかかる。
流れだしたBGMによって、PCたちはフレーズを獲得する。
それと同時に、周囲の粒子が少し増える。
成功度が3以上なら、恋仲PCの【日常】のダイス数分ネイロを獲得する。
また、そのフレーズを聞いたPC全員が記憶を垣間見る。
脅威③を公開する。

フレーズ:
誰かのXXを請わない
XXX見失いそう
ねぇ 現在(いま)XXXX?

記憶:「彫刻が示す記憶」
(恋仲PC)は何かに突き飛ばされ、朦朧とする意識の中で「それ」を見た。
自分に向かって、悲痛な声で叫ぶ相浦アカネ。
……その顔に、あまりにも邪悪な笑みが浮かんでいた。

未達成:
黒い靄が突如弾け、PCたちを傷付ける。
PC全員は1D6点の生命力を失う。
このクエストに再挑戦するか、別のエリアに移動できる。



 ■情報カード「プライベート」「パブリック」の両方が公開された

PCたちのオトダマが、PCたちにこう言葉をかけてくる。
「ここまで見てきた記憶って、なんだか別々の事実を指しているように思えない?」
「(恋仲PC)と相浦アカネ。
 ふたりは相思相愛であるようにも、被害者と加害者でありようにも見える」
「これがもし矛盾なくつながるとしたら、そこにはどんな真実があるんだろうね」

ここで、PC全員で話し合い、「真実」をひとつ決めることができる。
決めた「真実」は、【真実の欠片】として持っておくことができる。

完成した【真実の欠片】からはフレーズが聞こえるようになる。
脅威④を公開する。

フレーズ:
夜明けにXXXX窓の色味
XXXXを染めて

記憶:
「私も、あなたのオトダマさん?に会ってみたいな」
相浦アカネはそう言って、楽しそうに話を聞いていた。
「あなたと共に戦っているそのオトダマさん、いったいどんな人なんだろうなぁ」



 ■エリア02(エリア03、04のクエストクリア後)

どちらかのクエストをクリアした後にこの大広間を訪れると、
中央の花弁は少しだけはっきりと見える状態になっている。

両方のクエストをクリアした後には、花弁が淡い光を宿していて触れられる状態になっている。

花弁に近付いた時、【真実の欠片】を持っていれば、それが光りだす。
その光に照らされ、中にいる人影がはっきりと見えるようになる。
「私は、相浦アカネ。
 この花の中に、私は閉じ込められているの」
「あなたたちは、この館で全ての真実に辿り着いたはず」
「ウタの力が満ちてきた今、この花も開く。
 あなたたちは、私をどうしたいの?」
このリクエストに誰が答えるかは、PCで相談して決めてよい。

  ▼リクエスト「相浦アカネとどう相対する?」

達成(アカネと敵対する内容だった場合)
「…そう、よね。
 わかってる。あなたたちは、きっとそうすることでしか救えない」
アカネがそう言うと、花弁がゆっくりと開いていく。

達成(アカネを救いたい内容だった場合)
「…優しいのね。
 オトダマ使いなのに。オトクイの、私に」
アカネのその声と共に、花弁がゆっくりと開いていく。

どちらの場合でも、花弁が開くとともに周囲の粒子が弾け、音を奏でる。
その音によって、PCたちはフレーズを獲得する。
また、そのフレーズを聞いたPC全員が記憶を垣間見る。
脅威⑤を公開する。

フレーズ:
身体と心がXXXXXXX
XXXで人間ね

記憶:
(恋仲PC)は私を庇い、気を失う。
そして、残された私からも「何か」が奪われる感覚があった。
……どうして。私たちはこれから、もっと幸せになるはずだったのに。
視界が真っ暗になると同時に、どこかへ落ちていく感覚があった。未知の感覚が、私を支配した。



 □決戦フェイズ

◆すべてのフレーズを獲得した場合

開いた花の中から、相浦アカネが姿を現す。
「あなたたちは私を斃して、ここから出る。
 そういう筋書きなんでしょうね。
 だから――」
そう言うと、彼女の体が黒い影に包まれる。
「だから、全力で――斬り裂いてあげる」
人間の姿を失ったアカネが、PCたちに襲い掛かる。

◆すべてのフレーズを獲得する前に、タイムが「0」になった場合

その時、突然地響きが起こった。
(大広間以外の場所にいる場合、オトダマが
 「大広間のほうからオトクイの気配がする」と教えてくれる)
大広間中央の花弁には大きな亀裂が入っており、
突如それを突き破って、ガラスが砕けるような音と共に、オトクイが姿を現す。
現れたオトクイは、PCたちを見つけるや否や、襲い掛かってきた。





 □終了フェイズ

◆【真実の欠片】が「アカネを敵とする内容」だった場合

オトクイは地面に倒れ、その影は少しずつ空に溶けていく。
「これで、あなたたちは現実に帰れる……
 そう、これでよかったんだ」
「私は、あなたが忘れない限り……ずっと、あなたのココロに生き続ける。
 それで……幸せなんだよ」
そう言い残し、影は霧散して消えていく。

やがて、光の粒子が少しずつ明滅していく。
その光が少しずつ強まり、やがて視界を覆った。
PCたちは、元いた路地裏に立っていた。


◆【真実の欠片】が「アカネを信じる内容」だった場合

オトクイは地面に倒れ、その影は少しずつ空に溶けていく。
残された相浦アカネはその場に倒れ、意識を失っているようだ。

やがて、光の粒子が少しずつ明滅していく。
その光が少しずつ強まり、やがて視界を覆った。
PCたちは、元いた路地裏に立っていた。
相浦アカネも、一緒に現実世界へと帰還を果たしていた。
声をかけると、アカネは目を覚ます。
「……あれ、(恋仲PC)。
 私、今までどうしてたのかな」
「私、あなたに大きなものをもらっちゃったね。
 恩返し……ってわけじゃないけど。
 これからも、私の隣にいてくれないかな」

 

 




このシナリオをクリアした初音ミクが自分のオトダマのPCは、
「アンビバレンツ」が習得可能になる。


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