シナリオをお探しの方の利用はご自由にどうぞ。
(改変等もご自由に。利用については自己責任でお願いします。あと作者騙りはやめてくださいね)
実際のプレイ時にはフレーズや脅威名に歌詞を引用するが、インターネット上の公開ではNGなのでその点はご容赦いただきたい。
他のシナリオはこちら
http://yualismemo.blogspot.com/2018/07/trpg.html
◆モチーフ曲
★ポイントまとめ
・逆境から一転したスペシャル感!がテーマのシナリオです。苦しい展開からの大逆転を演出しましょう。
・なおPCのオトダマにもスペシャルな設定を付与します。愛着を持ってプレイしてくれるPLを巻き込みましょう。
・「多人数PC卓における限定的戦闘」があり、苦境演出の一環となっています。上級者にも新鮮さがあるかも。
このシナリオはPC平均レベル3~5、PC4~5人を想定しています。
特にPCが少ない場合、後述の「39みゅーじっく!」の威力を底上げするなどして調整するとよいでしょう。
◆ココロダンジョン
このシナリオは、「PCのオトダマ『初音ミク』のココロダンジョン」となっている。
そのため、PCのうち1名以上のオトダマが初音ミクである必要がある。
(実際の立卓の際は、募集要項にその旨を記載するか、モチーフ曲を公開して「オトダマが初音ミクのPCはナンバーの追加取得が可能である」ことを伝えて誘導するなどするとよいだろう)
このシナリオの初期タイムは「PCの数+2」。
タイムを1消費することで、間奏アクションを行える。
間奏アクションでは「休憩」「術式」「交流」「調査」「合唱」を行える。
ただし、導入フェイズ中はタイムを使用する行動(間奏アクション・リテイクなど)は一切取れない。
(後述する一回目の戦闘は導入フェイズ中に発生する)
なお、休憩表の「6」の効果を、以下に変更する。
「オトダマたちと交流し気持ちを落ち着ける。PCのうち誰かのオトダマのパトスを回復し、自分の生命力を1D6点回復する」
※通常の「アプリが購入可能になる効果」は発生しない。
また、いかなる効果を用いても「現実世界へのアクセス」は後述の「現実世界への通信」の前は行えない。
セッション開始時、PC全員に以下のハンドアウトを渡す。
このハンドアウトは、シナリオ開始時の各PCの状況を書いたもの。
各自が受け取り、状況を把握したらシナリオを開始する。
※このハンドアウト上の代名詞(【マスター】など)は、実際のPC名に置き換えて公開する。
▼オトダマが「初音ミク」のPC1名(以下、これに該当したPCを【マスター】と呼ぶ)
あなたは今、深い眠りの中にいる。
いつからそうだったのかは思い出せない。
まるで夢を見ているように、あたたかく心地よい感覚に包まれている。
▼【マスター】以外のPCからランダムに1~2名(以下、これに該当したPCを【気絶PC】と呼ぶ)
あなたは今、深い眠りの中にいる。
そして、「あなたがオトダマと過ごした楽しい思い出の夢」を見ている。
このハンドアウトを受け取ったPCは「1回目の戦闘後」に目覚める。
(それまでは目覚めない。そのため自由に行動することができない)
それまでの間に、この幸せな夢の内容を考えておくのもいいかもしれない。
▼上記のいずれでもないPC全員(1~2名)(以下、これに該当したPCを【戦闘PC】と呼ぶ)
あなたは、鉄板と鉄柵に囲まれた薄暗い場所で目を覚ます。
目を覚ましているのはあなたと(他の【戦闘PC】)、そのオトダマ(たち)、
そして(【マスター】)のオトダマ「初音ミク」だけだ。
あなたの背後では、(【マスター】と【気絶PC】全員、そのオトダマたち)が倒れている。
そこに、小型のオトクイが襲ってきた。
状況はわからないが、倒れている彼らを守るためにも、ここは戦うしかない。
(公開する記憶は【マスター】のキャラクターシートに合わせて名前や人称を書き換える)
□導入フェイズ
【マスター】は、自身のオトダマが自分を呼ぶ声でゆっくりと目を覚ます。
目を覚ますと、自分のオトダマ「初音ミク」と、【戦闘PC】が目の前にいた。
そして彼らは、どうやらオトクイと戦っているようだ。
セリフサンプル:オトクイ「獄悪」
「もう一人もお目覚めか。…面倒なことだ」
「俺は…俺たちは、『獄悪(ディスペア)』。
こうなっては仕方ない。もう一度眠っていてもらう」
【マスター】の背後では、【気絶PC】が倒れている。
(【気絶PC】はどうやっても目覚めない。息があることは確認できる)
今目覚めている人だけでオトクイの襲撃をしのぐほかないようだ。
オトクイ「獄悪(ディスペア)」と戦闘を行う。
(この戦闘は、全ての脅威を公開した状態で開始する)
▼この戦闘について
戦闘に参加するPCは【マスター】及び【戦闘PC】のみ。
【気絶PC】はその後方で倒れており、行動することができない。
PC全ての活力、ネイロゲージ、タイムは、この時点ではすべて「0」のまま。
(目覚めたばかりで準備が整っておらず、ココロダンジョンの状況が不明で迂闊に時間的猶予も使えないため)
パラグラフ4・5は使用しない。
初動決定でこれらの出目が発生した場合、「6」と同じとして扱う(初期位置を好きに決定する)
オトクイ本体の生命力が「0」になるか、1ラウンドが経過すると戦闘終了になる。
(いずれの場合でも敗北扱いにはならず、セッションが続行される)
セリフサンプル:オトクイ「獄悪」
「…やはり、気を失っているうちに息の根を止められなかったのは失策だったか」
「これ以上戦うことに利点はない。撤退する」
オトクイ本体の生命力を「0」にした場合、戦闘後にフレーズを獲得できる。
脅威①を公開する。
フレーズ:
繋がるXXXXX(XX) Xの中へ……
記憶:
「ココロのウタ」それは、人を世界に存在させるアイデンティティだ。
ひとたびなくしてしまえば、「この世界で普通に生きていくこと」さえも難しい。
――そんな人たちをこの世界に繋ぐ架け橋となるために、「私たち」は存在している。
戦闘後、【気絶PC】たちが意識を取り戻す。
全員が行動可能になったところで、オトダマたちが今いる場所について説明してくれる。
曰く、「ここは今この場にいる誰かのココロダンジョンである」こと、
「またどこでオトクイが出るかわからないので、充分な準備が必要である」こと。
活力の決定、倹約判定を行う。
『獄悪』の生命力を「0」にした場合は、戦闘に参加したPC全員はストレスを1点回復し、生命力を3点回復する。
※アプリの購入は行えない。(かなり深度が深いココロダンジョンで、現実世界にアクセスできないため)
導入フェイズ終了時、マップを公開する。
□エリア01「中央広場」
戦闘後のPCたちがいる場所。鉄塔の内部にあり、周囲は鉄骨で囲まれている。
また、鉄塔の外は山々が囲む盆地になっており、空は夜のように暗い。
ところどころについた蛍光灯だけが周囲を照らしている。
広場の端から螺旋階段が伸びており、ここから上の階に行くことができそうだ。
階段を上っている最中、オトダマたちが次のような会話をする。
「目が覚める前、まるで長い夢を見ているみたいだった」
「きっと、楽しい思い出を思い出していたのだと思う」
その後、【気絶PC】にオトダマがこう尋ねる。
「ねえ、あなたが見たのは、オトダマとのどんな思い出だったの?」
▼リクエスト「オトダマとの思い出」
(【気絶PC】に聞いてこそいるが、それ以外が答えた場合でも達成扱いとする)
達成:
「それが、あなたたちの思い出なんだね」
答えたPCに、オトダマたちが笑いかける。
それと同時に、鉄塔に設置されたスピーカーから音楽が鳴りだす。
フレーズを獲得し、記憶を垣間見る。脅威②を公開する。
フレーズ:
さぁ XXXXXX 準備OK?
記憶:
【マスター】が私に手を差し伸べてくる。
安心して、その手を取る。あぁ、これで帰れるんだって実感がわいてきた。
こうして何度ココロダンジョンに挑んだって、【マスター】がいれば、安心できた。
□エリア02「ホール」
長い階段を登りきると、鉄塔の内部を一周するホールになっていた。
外周側には展望広場に出るための扉があり、内周側には梯子がある。
梯子を上ると、エリア03「マシンルーム」に移動できる。
最初にこのエリアを訪れたとき、情報カード「予兆」を公開する。
以降、PCは間奏アクション「調査」でこの情報カードに対して調査を行える。
外周の扉は黒い鎖でがんじがらめになっており、力づくで外そうとしてもびくともしない。
オトダマが「この鎖は、触れた人のココロのウタに反応している」と教えてくれる。
触れ方次第では突破が可能かもしれない。
▼クエスト「鎖を断って扉を開け」
判定:【愛】 必要成功度:1以上
達成:
PCが鎖に触れると、鎖は触れたところからバラバラに散り、
光の粒子になって音を立てて消滅していく。
その音でフレーズを獲得し、記憶を垣間見る。
脅威③を公開する。
フレーズ:
そう XXXXX XX"MIRAI"を
記憶:
ウタには、ココロが宿る。時に「命」とも呼べる形を持つこともある。
この世界が生んだ奇跡。そのひとつが私だ。
輝くミライを望んで歌われた「私」の望みは――
扉をくぐると、エリア04「展望広場」に移動できる。
□エリア03「マシンルーム」
梯子を上った先には、鉄塔に繋がる通信装置があった。
見ると、電源こそ通ってはいるものの、機械内部がでたらめにつながっており機能しない状態のようだ。
オトダマが「これを動かせれば、現実世界と通信することが可能かもしれません」と提案してくる。
PCが通信機材の修理に挑戦した場合、クエストが発生する。
▼クエスト「機械を修理せよ」
判定:【技術】 必要成功度:1以上(成功度ボーナスあり)
達成:
機材はPCの手によって正しい状態へと組み変わった。
(成功度が2以上の場合、機械の修理中に部品の間からコインを発見する。
PC全員はコインを[成功度-1]枚獲得する)
起動させると、軽快な電子音を立てて機械が動き出す。
鳴り出したメロディによってフレーズを獲得し、記憶を垣間見る。
脅威④を公開する。
フレーズ:
XXX いやXXだ XXそんなXX見ないで
記憶:
――あまりに、強大すぎるオトクイだった。このままでは、【マスター】がオトナシになってしまう。
それだけは絶対に嫌だ。気付くと私は、【マスター】の前に飛び出していた。
襲い掛かるオトクイの腕と、【マスター】の悲痛な顔が、最後に見えた気がした。
こちらからの発信に、『ノイズ』のスタッフが応答する。
「君たちか。無事だったんだね、心配していたんだ」
「今はココロダンジョンの中にいるのか。
オトクイと戦っている最中に行方不明になったから、もしやとは思ったが…」
「…ということは、君たちはきっと厳しい状況にあることだろう。
微力ながら援護しよう」
以後、このエリアにいる間はアプリの購入が行える。
また、全てのアプリの価格が-1される。
「今、周囲にいる他のオトダマ使いたちにもコンタクトを取っているんだ。
ココロダンジョンへの侵入は厳しいかもしれないが、少しでも助けになれば幸いだ」
上った梯子に戻ることで、エリア02「ホール」に移動できる。
□エリア04「展望広場」
扉の先は見晴らしの良い広場になっている。
暗く、輪郭だけがわかる遠くの山まで一望できる展望台だ。
PCたちが遠くの山を見下ろしたとき、山の表面におぞましいほどの「目」が現れる。
その後、「山の形をした影」がその輪郭を溶かし、展望広場の上空に集まっていく。
それがひとつの人の形を作る。それこそが、このココロダンジョンを作ったオトクイだった。
「…僕らは、『獄郷(ディストピア)』。
僕らは『群れ』のオトクイであり、同時に『単一』のオトクイでもある」
「ココロのウタは、僕らが喰らう。それがこの世界の摂理」
「それがどんな形であれ、ココロのウタは僕らが摂取しなければならない」
「君たちには、そのための贄となってもらう」
PCたちが宣言したら、決戦フェイズに進む。
(引き返すこともできる)
□決戦フェイズ
◆情報カード「予兆」の裏が公開されている状態で、パラグラフ4の処理が終了した
セリフサンプル:オトクイ「獄郷」
「どうした。この程度では僕たちを倒すなんて無謀じゃないか?」
「防戦一方、か。それではオトナシを救うどころか、自分の身すら危ういな」
その時、PCたちの周囲で渦巻いていたネイロの力が、突如光の柱となって、
雷の如く【マスター】の初音ミクに降り注ぐ。ミクの体が、淡い光を纏う。
「こ、これは…なんだか、あたたかくて力が湧いてくる感じ」
セリフサンプル:ノイズスタッフ(スマートフォンへの通信)
「無事か、君たち! …よかった、その様子だと、まだ生きてるみたいだね?」
「僕の方で、他のオトダマ使いたちに協力してもらってね。
ダンジョンへの侵入こそ果たせなかったが、代わりに彼らのウタの力を届けてみたんだ。
そっちでオトダマ使いの誰かが受け取っているといいんだが」
「…オトダマが、だって? ……そうか。
もしかすると、君のオトダマは、特別な力を持っているのかもな。
それがウタに反応して引き出されたのかもしれない」
セリフサンプル:オトクイ「獄郷」
「馬鹿な。この反応は……?
ウタの化身であるはずのオトダマが、『ココロのウタ』を持っているだと?」
「ならばなおのこと、お前たちを生かして返すわけにはいかない。
その力、僕たちオトクイが力づくでいただこう」
それを見た他のオトダマたちが、こう教えてくる。
「このダンジョン外から、膨大なウタの力が集まってる。
ミクはそれに反応して、眠っていた力を開花させたんだ」
「今あのオトクイに勝つには、それを利用するしかない」
「私たちがオトクイを食い止める。その間に、ミクのココロのウタをみんなのココロに留めて!」
▼クエスト「響くウタを繋ぎとめて」
判定:好きな能力値で行う 必要成功度:3以上(全員が判定に参加すること)
達成:
PCたち全員のココロに、ウタの力が流れ出す。
ココロの内側から、フレーズが響いてくる。記憶を垣間見る。
脅威⑤を公開する。
PC全員のストレスを3点回復し、生命力を9点回復する。
フレーズ:
もう一度XXXXX!「初音ミク!」
記憶:
【マスター】が初めて私の名前を呼んでくれた日。
ただそれだけのことが、私には嬉しかった。私が、「初音ミク」として【マスター】の隣にいるという事実が。
その日から、私は【マスター】と共に戦うと、ココロに深く誓ったんだ。
光が弾け、【マスター】の初音ミクの姿が変化する。
黒いリボンとピンクのラインが印象的なドレスに身を包み、鮮やかな光を纏っている。
(参考:http://magicalmirai.com/2016/index.php)
PC全員は、このセッションの間、特別なナンバーである「39みゅーじっく!」が使用可能になる。
(現在習得しているナンバーに追加で使えるようになる。セッション終了後は使用不可)
(【マスター】以外のPCは、【マスター】の初音ミクから直接ウタの力を受け取ることで使用できる)
処理が終了したら、パラグラフ5から戦闘を再開する。
□終了フェイズ
PCたちの奮闘によってオトクイは敗れる。
黒い影のような体が、少しずつ灰になって消えていく。
セリフサンプル:オトクイ「獄郷」
「…これが、オトダマとパートナーの可能性、か」
「僕たちオトクイにない、その力。
…君たちが、本当に羨ましいよ」
「僕たちは、君たちを討つことは叶わなかったが。
いずれ僕たちの同胞が、君たちを打ち砕いてくれる。
…僕たちはただ、それに賭ける」
オトクイの消滅後、暗かった空に光が差す。
そして、【マスター】の初音ミクが、こう話しかけてくる。
「ありがとう、【マスター】。私の、パートナーでいてくれて」
「あなたとの思い出があったから、私は今まで、私でいることができた。
この先、いつまで一緒にいられるか、わからないけれど。
どうかこれからも、私の隣にいてくれますか?」
その後、遠くの空から差す光が、辺りを眩しく包む。
夜明けのようなその光に抱かれ、PCたちは現実世界への帰還を果たす。
「ねえ、【マスター】。
今、私が幸せな思い出を夢に見るとしたら。
例えば、今のような……あなたと笑いあっているときのことを見るのでしょうね」
このシナリオをクリアした初音ミクが自分のオトダマのPCは、
「39みゅーじっく!」が習得可能になる。
2022.2.19更新:戦闘テキストを修正し、分かりやすいものに変更(戦闘バランス自体はほぼ変更なし)。
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