初音ミクTRPG「ココロダンジョン」のセッション用に自作したシナリオ「なりすましゲンガー」のシナリオテキストを掲載してみる。
シナリオをお探しの方の利用はご自由にどうぞ。
(改変等もご自由に。利用については自己責任でお願いします。あと作者騙りはやめてくださいね)
※推奨人数はGM含め5名以上です。
実際のプレイ時にはフレーズや脅威名に歌詞を引用するが、インターネット上の公開ではNGなのでその点はご容赦いただきたい。
他のシナリオはこちら
http://yualismemo.blogspot.com/2018/07/trpg.html
◆モチーフ曲
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16814250
★ポイントまとめ
・「PCとして参加するサブGM」が必須のシナリオです。参加人数に余裕のある卓におすすめ。
・サブGMにはあらかじめシナリオ内容や演出意図をよく共有しておきましょう。
・サブGMのPCは孤立させず他のPCとよく交流させた方が、よりギミックのサプライズ感が活きるかもしれません。
このシナリオはPC平均レベル3、PC4人(内『協力者PC1名』)を想定しています。
PCがさらに多ければ、平均レベルが低くても良いでしょう。(適宜調整)
◆「協力者」について
あらかじめPCのうちから1名「協力者」を決めておく。
そのPCの大まかな流れはこのようになっている。
(以下、「協力者」のPCを『協力者PC』、
「協力者PCの姿になりすましたオトクイ」を「なりすましオトクイ」とする)
導入フェイズ中、戦闘を行っている最中までは描写の通り。
PCたちがココロダンジョンに侵入したとき、協力者PCの持つココロフォンはオトクイに奪われる。
それと同時に、協力者PCだけはココロダンジョンの「入口」ではなく「内部」に直接飛ばされる。
以降シナリオ内に登場する「謎の人影」として、
オトダマも他のPCも知覚できないままにココロダンジョン内をさまよう。
なお、協力者PCのオトダマは他のPCと一緒に同行している。
同行しているのが協力者PCでないことにはうすうす気付きつつも、
なりすましオトクイにココロフォンを奪われていること、
『オトダマには強い自我が存在しない(ココロダンジョンP117/ココロセッションP11)』ことから、
仕方なくなりすましオトクイに同行する。
なりすましオトクイは協力者PCの性格をなるべく真似ようとするが、
自分のココロが不完全なせいで完全にはなり切れない。
具体的には「そのPCが言わないようなことを言ってしまう」「やや感情が薄い」「暗く消極的」など。
この傾向はココロダンジョンにネイロが満ちるほど(フレーズを入手するほど)顕著になる。
また、オトダマ使いがココロのウタを取り戻すことには表向きは協力している。
最後のリクエストによってフレーズが流れ出した時以降、
そのネイロの力に拒絶反応を示しオトクイの力を暴走させる。
なりすまそうとしたPCのココロとオトクイとしての本来の自分とが混ざりながら、
PCたちに襲い掛かる。
協力者PCは決戦フェイズの戦闘には参加しない。
(PCとしては参加しない、という意味。オトクイのRP等はあり)
◆ココロダンジョン
このココロダンジョンの初期タイムは「3」。
エリア01以外のクエストに失敗するたび、タイムが「1」減少する。
タイムが「0」になった時、強制的に決戦フェイズに移行する。
タイムを「1」消費することで、「休憩」と「術式」が行える。
□導入フェイズ
PCたちは協力して、オトクイと戦闘を繰り広げている。
「さぁ、君たちニンゲンの力。ワタシによく見せてよ」
そう言って、オトクイがPCたちに襲い掛かる。
オトクイの名は『欺瞞(ヒドゥナー)』
制服を着て眼鏡をかけた女子学生の姿をしたオトクイだ。
黒いノイズのようなものが随所に走る。
そのオトクイは尖った触手のようなものを伸ばし、PCたちを刺し貫こうと迫る。
「やるじゃないか…やはりニンゲンは面白い」
「興味深い。それでこそ、ワタシの本能をくすぐるのだ」
(各PCに対して戦闘の描写を行い、RPも適宜行う。
特に「協力者」の描写は『変化があった』ことを事前に示す伏線になるため重要)
PCたちがオトクイにとどめを刺し、ココロダンジョンが光に包まれ崩壊を始める。
光が収まると、PCたちはなぜかココロダンジョンの入り口にいた。
薄暗い空間に扉が浮いている。
(このタイミング以降、「協力者」のRPを変化させる。
「協力者」のPCはオトクイが化けた偽物にすり替わっている)
オトダマによれば「さっきまでいたのとは異なるココロダンジョンに紛れ込んだ」とのことだ。
活力の決定、倹約判定、アプリの購入を行う。
また、一度はココロダンジョンを制覇したことで、PC間にはある程度の絆が芽生えている。
各自、他のPCから2人まで想い人を獲得する。
(導入フェイズで制覇したココロダンジョンに必須の設定などはありません。
GMのアドリブで決めてしまっていいでしょう)
□エリア01「駅構内」
PCたちがココロダンジョンに入ると、そこは人が行き交う駅構内だった。
行きかう人には触れることができず、人々もこちらに気付いていない。
また、その人々は半透明でうっすらと向こうが透けて見える。
そんな人ごみの中に、透けていない誰かの人影を見た気がした。
(どのような姿をしているかはわからない。なぜかその人影だけがぼやけて見える)
オトダマが「あの人はココロダンジョンの住人とは違う感じがする」と教えてくれる。
どちらに行けばいいかわからない人混みの中、手掛かりを探す。
▼クエスト「人影を追って」
判定:【霊力】 必要成功度:1以上(成功度ボーナスあり)
未達成:
PCたちは周囲に気を配り人影を探すが、
ついに見つけることはできなかった。
全員、ストレスを1点受ける。
その後、以下の達成時の処理を行う。
(この場合発着メロディは鳴らず、フレーズも入手できない)
達成:
PCたちはオトダマの助けを借りつつ、人影を追う。
走っていくうち、人影が電車に乗り込むのが見えた。
同じ電車にPCたちが乗り込むと、電車は発進し、ほどなくして次の駅に到着する。
(電車はここから動かない。扉も開いたまま閉まらない)
駅に響く発着メロディで、PCたちはフレーズを獲得する。
また、そのフレーズを聴いたPC全員が記憶を垣間見る。
脅威①を公開する。
[成功度-1]のネイロを獲得する。
フレーズ:
ひとりぼっち、XXXXXX
XXXXを何度も明かした
記憶:
誰かが、部屋の窓から夜空を見上げていた。
彼女は一人、夜風に吹かれながら缶を呷る。
喉に通したその味はひどく無機質で、
それが彼女の寂しさをより一層、際立たせた。
駅の人混みで、PCたちは人影を見失った。
PCにマップを公開し、PC間で相談して、
好きな順番で探索を進めてよい。
□エリア02「スクランブル交差点」
そこは半透明の人々が行き交うスクランブル交差点だった。
歩道はなぜかずっと青信号のまま、流れる人混みが延々と続いている。
そんな中に、あの人影を見た気がした。
PCたちはその人影を追い続けるが、人混みが視界を遮る。
▼クエスト「人混みをかきわけて」
判定:【日常】 必要成功度:2以上(成功度ボーナスあり)
未達成:
人影を見失い、街中で迷う。
ひどい疲れで、PC全員は【生命力】を1D6点失う。
タイムが「1」減少する。
達成:
PCたちはなんとか、街中を迷わず進むことに成功する。
人影を追いかけて先へと進むと、先ほどとは別の交差点に来ていた。
PCたちがやってきたその時、ビルのモニターから音楽が響いてくる。
PCたちはフレーズを獲得し、同時に記憶を垣間見る。
脅威②を公開する。
[成功度÷2(小数点以下切り捨て)]の数までネイロを獲得できる。
フレーズ:
そんなXXXXXXXの人生なんてXXXを浴びないから
何度もXXXXXんだ
記憶:
どこかの会社のオフィス。
スーツ姿の男性が、喫煙ルームで休憩していた。
そこに、彼の同僚が入ってきて声をかける。
「聞いたぞ。お前、地方に異動になるんだって?」
いわれた男性は俯いたまま、何も答えない。答えが、頭から出てこない。
同僚は怪訝そうな顔で、彼を見ていた。
他のクエストが残っている場合:
人影は交差点を抜け、別のエリアへと移動していくようだ。
後を追い、手掛かりを探そう。
□エリア03「学校」
半透明な人影に混ざって、人影が学校に入っていくのを目撃する。
校舎の中に入ると、あちらこちらからかすかにネイロの気配が漂ってくる。
見えない気配を追って、人影を探そう。
▼クエスト「ネイロの気配を探す」
判定:【愛】 必要成功度:3以上(成功度ボーナスあり)
未達成:
ネイロの気配を見失う。
代わりに絶望的な空気が流れ、黒のネイロを1増やす。
タイムが「1」減少する。
達成:
ネイロの気配を追ってやってきたのは、ある教室の前だった。
PCたちが扉を開けたその瞬間、スピーカーが鳴り出す。
流れてくる音楽によって、PCたちはフレーズを獲得する。
また、そのフレーズを聴いたPC全員が記憶を垣間見る。
脅威③を公開する。
成功度5以上で、PC全員がコインを1D6枚獲得できる(教室内に置いてある)。
フレーズ:
最近の若者達は、XXXXXXXXXけれど
XXXXXワタクシこそが その最たる例なのです
記憶:
教室の後ろの席で、ひとり本を読む少女がいた。
誰かが、彼女を指して耳打ちで話す。
「――あの子、最近感じ悪いよね」
わざと聞こえるように言われたその言葉を、彼女は無視した。
気にしていたって、仕方がないから。
他のクエストが残っている場合:
教室の窓から外を見ると、
校庭から外へと向かっていく人影があった。駅から探していたあの人だ。
急いで学校を出て、後を追おうとオトダマに提案される。
□エリア04「街を見渡す展望台」
展望台の頂上に、PCたちは人影を見かける。
それが誰かを確かめる前に、人影は姿をくらます。
残されたPCたちの背後から、黒い影が姿を現す。
その影は声を発さず、突如PCたちに襲い掛かってきた。
▼クエスト「襲い来る黒い人影」
判定:【武勇】 必要成功度:4以上
達成:
PCたちはオトクイの撃破に成功する。
それと時を同じくして、展望台周辺のスピーカーから音楽が流れ始める。
PCたちはフレーズを獲得し、同時に記憶を垣間見る。
脅威④を公開する。
タイムが「1」増加する。
フレーズ:
「あいつみたいになんてXXXXX」
ほら、キミ、と僕の距離がXXXXX、追いつけないんだ
記憶:
PCたちがいる展望台とよく似た場所に、ひとりの少年が立っている。
彼は夕焼けを眺め、そして俯く。
彼は誰かを思い浮かべる。その目が悲しそうに、どこかを見る。
「やっぱり僕なんかじゃ、あいつの代わりはできないんだ」
誰もいない展望台に、その声だけが残される。
他のクエストが残っている場合:
この展望台には、怪しい気配もネイロの力も残っていないようだ。
オトダマたちに「街に戻って調査を再開しましょう」と提案される。
■すべてのエリアでクエストをクリアした
(場所は最後にクエストをクリアした場所になる)
PCたちがフレーズを取り戻したことで、ココロダンジョン内にはフレーズが満ち溢れていた。
その音に誘われるように、探していた人影が姿を現す。
その人影は、(協力者PC)と同じ姿をしていた。
(人影はPCたちやオトダマを見たり、その声を聴いたりできない。
触れることはできるが、それを人影は認識しない。
また、フレーズの気配を聴こうと周囲を見渡している)
なりすましオトクイはそこで、PCたちに尋ねる。
「今ここに、同じ姿の人がふたりいる。
そのどちらかが偽物だって、きっと君たちは思うだろう。
ねぇ、教えて。
その人が本物か偽物かって、いったい誰が、どうやって決めるの?」
(ここに限らず、なりすましオトクイの台詞は協力者PCのキャラクターに合わせて
アレンジして発言してもよいでしょう)
▼リクエスト「ホンモノは誰が決める?」
達成:(このリクエストは内容を問わず「明確な答えを示せたか」で判定する。)
「そうか。それが君たちの答えなんだね」
なりすましオトクイはそう言ってPCたちに背を向ける。
その時、協力者PCがフレーズにつられ鼻歌を歌う。
そのウタがフレーズとなり、PCたちはフレーズを獲得する。
また、そのフレーズを聴いたPC全員が記憶を垣間見る。
脅威⑤を公開する。
フレーズ:
なりすましゲンガー、そうだこうやって、XXXXXXXXXX
XXXXXXXXこのままXXXXXX、それでいいな
記憶:
そのオトクイは、オトダマ使いの一撃で深手を負った。
その時、オトクイは閃く。
自分の内には、食らったココロのウタを蓄えてできた、疑似的なココロがある。
これを自ら傷付ければ、ココロダンジョンに奴らを引き込める、と。
オトダマ使いたちを引きずり込むその時、オトクイは(協力者PC)のココロフォンを奪った。
そしてその姿に化け、合流を果たした――!
反響するフレーズに、徐々になりすましオトクイは耐えられなくなっていった。
やがてなりすましオトクイの背から、尖った触手のようなものが突き破る。
徐々に黒い影に飲まれていくオトクイが、かろうじて残る(協力者PC)の姿で叫ぶ。
「私は人間になり損ねた。
オトクイは所詮、オトクイとして生きるしかなかったのだ。
お前たちは、ここで食らう!」
□決戦フェイズ
『欺瞞(ヒドゥナー)』
このオトクイの姿は協力者PCとよく似ている。
※この戦闘は、協力者PCを除いた他のPCのみで行う。
□終了フェイズ
オトクイは倒れ、その体は黒い霧に包まれていく。
後にはココロフォンが残され、それに気付いた協力者PCがそれを拾う。
それによって、協力者PCが他のPCやオトダマを知覚できるようになる。会話も可能になる。
協力者PCは、ココロフォンを失ったまま、ココロダンジョン内をひとりで探索していたこと、
だんだんウタの力が強まっていったことを感じたことなどを教えてくれる。
一通りの会話が終わると、ココロダンジョンが崩壊を始める。
PCたちは現実世界へと帰還する。
このシナリオをクリアした初音ミク、または鏡音リンが自分のオトダマのPCは、
「なりすましゲンガー」が習得可能になる。
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