2021年10月30日土曜日

初音ミクTRPG「ココロダンジョン」自作シナリオ『群青讃歌』テキスト全文

 

初音ミクTRPG「ココロダンジョン」のセッション用に自作したシナリオ「群青讃歌」のシナリオテキストを掲載してみる。
シナリオをお探しの方の利用はご自由にどうぞ。
(改変等もご自由に。利用については自己責任でお願いします。あと作者騙りはやめてくださいね)

実際のプレイ時にはフレーズや脅威名に歌詞を引用するが、インターネット上の公開ではNGなのでその点はご容赦いただきたい。



他のシナリオはこちら
http://yualismemo.blogspot.com/2018/07/trpg.html


◆モチーフ曲

 

★ポイントまとめ

・「PCたちによるセッション(※楽器演奏の方)」「新たなオトダマ使いの出会いと目覚め」といった、爽やかなフレーバーで構成されたシナリオです。

・ダイスで探索を遊ぶ前半と、シナリオラインに乗って進む後半とで遊びの質が全く異なる二面性があります。

・雑踏のココロスケープと青空のココロダンジョンで情景も対比的になっています。マスタリングの際はうまく雰囲気を作りましょう。

 

 

 □導入フェイズ

PCのうちから1名を【旧友PC】にし、それ以外を【オトクイ捜索PC】にする。
以下、導入はそれぞれの視点で行う。


【旧友PC】
PCには、かつて「麻布 ハルキ(あざぶ-)」という一人の友人がいた。
その友人と最後に会ったのは、PCがまだ幼い頃で、その友人は何らかの事情で離れ、会えなくなった。

現代。
街を歩いていた時、PCたちの前に「オトダマの初音ミク」が現れる。

聞くに、その初音ミクは誰とも「オトダマ使いの契約」をしていない、いわば野良のオトダマだった。

セリフサンプル:初音ミク
「あの、あなた……見たところオトダマ使い、ですよね?」
「ちょうどよかった。実は、困ったことが起きていて」
「私が最近気になってる作曲家……いえ、正確にはその卵、みたいな人がいるんですが」
「その人がオトナシになったかもしれなくて。探すのを手伝っていただけませんか?」

PCが初音ミクに協力することを申し出ると、【旧友PC】の協力者に「オトダマ:初音ミク」を追加する。
「ありがとうございます。その人の普段の行動圏は、ここからちょっと離れているんですが……」


【オトクイ捜索PC】
PCはノイズのスタッフから、あるオトクイの情報を聞く。
それは最近この地域に現れるという特殊なオトクイの情報だった。

セリフサンプル:ノイズスタッフ
「よく集まってくれた」
「ある一体のオトクイによるものと思われる被害が立て続けに出ている。
 今は一人でも多くの人手が必要だ」
「今、机上に並んでいるのが……そのオトクイに襲撃されたと思われる被害者たちだ。
 オトダマ使いの君たちから見て、何か気付く点はあるかい?」

「オトクイ捜索PC」が2名以上いる場合、全員で[1D6+【頭脳】のダイス数]を振る。
(例:【頭脳】がBなら、1D6+2⇒3~8)
出目の合計が最も高いPCは、その被害者たちの情報からあることを見出す。
そのPCに情報カード「特殊なオトクイの生態」の裏面を公開する。


情報をもとに、PCたちは街に調査に乗り出す。




電車で数駅ほど離れた街にやってきた【旧友PC】達。
街に出て間もなく、奇妙な光景を目にする。
それは、巨大な黒い壁が街のビル群を飲み込んでいる様子だった。


セリフサンプル:初音ミク
「……一足、遅かったかもしれませんね」
「あの壁の向こうは、ココロスケープ……通常オトナシのココロの中にできるココロダンジョンが、ココロを超えて現実世界までも侵食するものです」
「一刻も早く、その人を見つけましょう。そして、元凶となっているオトクイを倒さなくては」

ココロスケープの前で各PCは合流を果たす。
活力の決定、倹約判定、アプリの購入を行う。



◆ココロダンジョンについて

このシナリオの初期タイムは「14-PCの数」。
間奏アクションを行うたびに、タイムを1消費する。
間奏アクションでは「探索(街にいる間のみ)」「術式」を行える。
タイムが0になった場合、強制終了が発生する。


 □エリア01「街」

ココロスケープの中は、無音であるということ以外は普段と変わらない街が広がっていた。
オトダマ使い以外の人間にはココロスケープであるという知覚自体ができておらず、普通の街並みだと認識されているようだ。
また、PCたち以外のオトダマ使いがあたりを調査している様子が見受けられる。

このエリアにいる間、間奏アクション「探索」を行い、ココロスケープ内を探索することができる。
また、ノイズのアプリストアといつでも接続が可能で、アプリを好きなタイミングで購入できる。

探索表を公開する。
(この時点では、PCには探索表の一部を伏せた状態で公開する)




 ◆探索表の「10」を適用し、「怪しい場所を調べる」ことを選んだ場合

その場所は、直径300mほどの巨大なクレーターになっていた。
そのクレーターの中心に、誰かが倒れている。

セリフサンプル:初音ミク
「……この人です。私が探していたのは」
「つまりこのココロスケープは、彼のココロダンジョンから生まれたもの……」

その人物は、【旧友PC】のかつての友人「麻布 ハルキ」と似ている。
【旧友PC】は、その面影にどこか懐かしさを覚えるかもしれない。

「ともかく、彼のココロダンジョンに侵入してみましょう。
 もしかしたら、オトクイもそこにいるかも」
倒れるオトナシに触れてココロダンジョンに侵入しようとすると、『何か』に阻まれて侵入を拒否される。
「……仕方ありませんね。少々荒っぽいですが、無理にでも押し通りましょう」

  ▼クエスト「ココロダンジョンへの侵入」
判定:【武勇】 必要成功度:3以上

達成:
PCたちはココロダンジョンの中へと飛んでいく。
その最中、どこかからフレーズが聞こえてくる。
PCたちはフレーズを獲得し、オトナシの記憶を垣間見る。


フレーズ:
青い春をXXXX 遠いXX

記憶:
幼少期の麻布ハルキは、おとなしくも夢見がちな子供だった。
「いつか、作曲家になりたいんだ。誰もが好きになるような、そんな曲を作りたい」
彼は【旧友PC】に、そう語って聞かせていた。



 □エリア02「水面」

PCたちが目を覚ますと、そこはどこまでも青い空と水面が広がるココロダンジョンだった。
PCたちはその水面の上に立っている。

そしてPCたちから少し離れたところに、麻布ハルキが倒れている。
近寄って声をかけると、ハルキは目を覚ます。

セリフサンプル:麻布ハルキ
「……う……ここは一体……?」
「君たちが起こしてくれたんだね。お礼を言わなきゃ」
「僕は『麻布 ハルキ』だよ。よろしく」
(【旧友PC】が名乗った場合)
「【旧友PC】……もしかして、僕たち昔会ってる?
 ……やっぱり! 懐かしいなあ。元気だった?」


セリフサンプル:初音ミク
「彼が無事で何よりです。
 ……だけど、オトクイはこのココロダンジョンのどこかにいる可能性が高いはず」
「何か、手掛かりになるものがあればいいんですが……」



探索の最中、ミクが【旧友PC】にこっそりと話しかけてくる。

セルフサンプル:初音ミク
「ちょっと、あなたに相談したいことがあって。
 実は、彼……ハルキさんにオトダマ使いの契約をしてもらおうと思っていて」
「私は、彼の作る音楽が好きなんです。
 まだ拙いけれど、でも彼なりの想いがこもった……そんな音楽が」
「でも、オトダマ使いになるということは、大きな変化を生みます。
 あなたたちが今そうしているように、身を挺して他のオトナシを助けたりとか。
 ……あなたは、オトダマ使いになって、よかったと思いますか?」

  ▼リクエスト「オトダマ使いになってよかった?」

PCたちが何らかの答えを示すと、ミクはそれを得心したように聞く。

ポジティブな回答だった場合:
「よかった。じゃあ、この件がひと段落したら……ハルキさんに話してみます」

ネガティブな回答だった場合:
「そうですよね……無理強いはよくないですし。
 それに無理にパートナーにならなくたって、彼の音楽は聴けますから」



PCたちが移動を続けていると、その先の水面に何かがあるのが見えてくる。
それは何かの建造物のようだったが、まるで氷のように透き通っておりそのままでは何なのかわからない。

セリフサンプル:初音ミク
「これは……何かの建造物みたいですね。
 でも、そのままでは使えそうにありません」
「もしかしたら、このあたりのネイロが不足しているせいで、実体をなくしているのかも」

  ▼クエスト「建造物をチューニング」
判定:【霊力】 必要成功度:2以上

達成:
建造物の復元に成功する。
建造物が真っ白な光に包まれ、その奥から何かのメロディが聞こえてくる。
フレーズを獲得し、オトナシの記憶を垣間見る。脅威を公開する。

フレーズ:
期待とXXX同じくらいXXXXX

記憶:
ハルキはできたばかりのデモ音源をPCのスピーカーから再生する。
まだ納得いっていない部分が山ほどある。ハルキは難しい顔でそれを聴いていた。
……窓の外に、何かの気配を感じた気がしたが、そちらを見ても誰もいなかった。

(補足:記憶にある「気配」はオトダマの初音ミクだが、麻布ハルキはオトダマ使いではないためそれを知覚できていない。PLが描写を不審がった場合、ミク自身が「あれは自分のことだったのかも」という旨の自白をさせてもよい)





やがて建造物を包んでいた光が収まり、姿を現す。
それは何かのステージであり、そのステージ上にはいくつかの楽器が設置されていた。
楽器に触れると、無音のココロダンジョンに楽器の音が響く。


 ◆情報カード「特殊なオトクイの生態」を公開した

セリフサンプル:初音ミク
「……なるほど。オトクイを音楽で呼び寄せる……いい手かもしれません」
「ちょうどここに楽譜もあるようですし、みんなでこれを練習してみませんか?」

  ▼クエスト「セッション練習」
判定:【日常】 必要成功度:(PC数)以上
※PC全員が判定に参加すること

達成:
PCたちは練習を重ね、その曲を通しで演奏することに成功する。
PCたちが演奏したその曲自体がフレーズであり、PCたちはフレーズを獲得する。
オトナシの記憶が脳裏に浮かぶ。脅威を公開する。

フレーズ:
さっと泣いて XXXXXXXX
XXXどんなにXXXXXいたろうな

記憶:
ハルキはいつもの作曲作業に行き詰っていた。
どうにもスランプから抜け出せない。もうずっとこんな調子だった。
そしてある時突然、足元から真っ黒な影に呑まれるように、意識を失った。


セリフサンプル:麻布ハルキ
「……忘れてたな、この感じ」
「音楽って、本当は楽しいものだったんだ。こうやって音を奏でて、重ねて。
 ……僕にとって、音楽が苦しいものになったのは、いつからだったっけ」


その曲を演奏し終えると、ココロダンジョン全体に大きな地響きが起こる。
そしてPCたちの目の前の水面から大きな水柱が上がり、水面下にいた何かが姿を現す。
それは巨大な鯨だった。そしてそれが、このココロダンジョンを作り出したオトクイだったのだ。


 □決戦フェイズ


 □終了フェイズ

オトクイはPCたちによって倒され、消滅する。



リクエストがポジティブな回答だった場合:

光に包まれ、消えゆくココロダンジョンの中で、ミクはハルキに言う。
「あなたさえよければ、なんですけど。
 私と、オトダマ使いになりませんか?」
「あなたが音楽を作れなくなったのは、ただのスランプじゃない。
 ココロのウタをなくしてしまったから、なんです」
「私はまた、あなたの作る音楽が聴きたい。
 そのために、私にできることを手伝わせてほしい。
 あなたがココロのウタを取り戻して、また、音楽を作れるように」

ハルキはそれに応え、……そして、全てが光に包まれて消えていく。
ココロダンジョンは崩壊し、PCたちは現実へと帰っていく。

その後、ハルキたちがオトダマ使いとしてどのような道を歩んでいくのか。
それはまた、別の話。



リクエストがネガティブな回答だった場合:

光に包まれ、消えゆくココロダンジョンの中で、ハルキはミクに言う。
「僕も彼ら(彼女ら)みたいに、誰かを助ける存在になりたい。
 僕を助けてくれたみたいに、僕も誰かを助けたいんだ」
(彼ら=PCたち)
「それは今日のような戦いに、君を巻き込むことに他ならない。
 きっと沢山の後悔が待っているかもしれない。
 それでも、君さえよければ、一緒に来てほしい」

ミクはそれに応え、……そして、全てが光に包まれて消えていく。
ココロダンジョンは崩壊し、PCたちは現実へと帰っていく。

その後、ハルキたちがオトダマ使いとしてどのような道を歩んでいくのか。
それはまた、別の話。

 

 

このシナリオをクリアした初音ミクが自分のオトダマのPCは、
「群青讃歌」が習得可能になる。




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