2021年8月18日水曜日

初音ミクTRPG「ココロダンジョン」自作シナリオ『ぼくらはみんな意味不明』テキスト全文

初音ミクTRPG「ココロダンジョン」のセッション用に自作したシナリオ「ぼくらはみんな意味不明」のシナリオテキストを掲載してみる。
シナリオをお探しの方の利用はご自由にどうぞ。
(改変等もご自由に。利用については自己責任でお願いします。あと作者騙りはやめてくださいね)

実際のプレイ時にはフレーズや脅威名に歌詞を引用するが、インターネット上の公開ではNGなのでその点はご容赦いただきたい。



他のシナリオはこちら
http://yualismemo.blogspot.com/2018/07/trpg.html


◆モチーフ曲

 

★ポイントまとめ

・とにかく奇妙なフレーバーをばら撒いたシナリオとなっています。人生の意味を問いましょう。

このシナリオ上に明確な答えは何一つありません。悩みましょう。苦しみましょう。

・シナリオの進行によっては「戦う相手がオトクイではない」展開もあり得ます。

 


このシナリオはPC平均レベル4~5、PC3~4人を想定しています。


◆ココロダンジョン

このダンジョンの初期タイムは「3」。
タイムが「1」で、タイムを使用する行動を取った時、黒のネイロを1増やすことで、
タイムの減少をなくすことができる。
タイムが「0」になった時、強制終了が発生する。

間奏アクションでは「休憩」「術式」「交流」「調査」が可能。
(合唱は行うことができない)



 □導入フェイズ

セッション開始時、PC全員にアプリ「リハーサル」を1個ずつ追加する。
(戦闘における詰み対策)

PCたちは、ココロダンジョンの中で目が覚める。
そこは景色が乱雑にコラージュされた空間。
頭の狂いそうな色彩が支配する奇妙なココロダンジョン。
また、ココロダンジョンの中であるにも関わらず、
どこからか(耳のいいPCなら、それが「頭上からだ」とわかる)雑踏のような喧騒がうっすらと聞こえるのがわかる。
(ここに来る前、PCたちは休日を人の多い街中で過ごしていた。どうやってこの場所に来たかは覚えていない)

PCたちの近くに、PCとオトダマ以外の人物が1人いた。

◇セリフサンプル:霧崎 ユウラ
「あ、起きたね。よかった。なかなか目を覚まさないから」
「僕の名前? 『霧崎 ユウラ(きりざき ゆうら)』っていうんだよ」
「こんな変な場所にひとりっきりだったから、心細くてさ。
 みんなが起きてくれて助かったよ。出口はどこにあるんだろう?」

オトダマたちが(ユウラには聞こえないように)、
「あの子からはココロのウタが感じられない。あの子がオトナシだよ」と教えてくれる。

ここはココロダンジョンの中でも現実世界にかなり近い場所のようだ。
現実世界へのアクセスも、ここならまだ可能だろう。
活力の決定、倹約判定、アプリの購入を行う。

(このシナリオ中、アプリ「アンコール」の価格を「3」に変更する。
 リハーサル、バックアップは変更なし)

 

 □エリア01「コラージュ空間」

PCたちの周囲は、とにもかくにも滅茶苦茶な空間だ。
空間がでたらめに切り貼りされており、どこがココロダンジョンの深部に繋がっているか、
一見しただけではわからない。

PCが探索する場合、クエストに挑戦できる。

  ▼クエスト「空間の行く末を探れ」
判定:【愛】 必要成功度:1以上(成功度ボーナスあり)

達成:
(成功度が2以上なら、探索中、PC全員は成功度-1枚のコインを拾う)
PCたちは探索の末、目立たない位置に置かれたマンホールを発見する。
マンホールを開けると、中には梯子がかかっていて、かなり長い縦穴になっていた。
縦穴の奥から、うっすらとフレーズが響いてくる。
記憶を垣間見る。脅威②を公開する。
情報カード『不完全な「ココロのウタ」』を公開する。

フレーズ:
君と喋る 飯をXXX XX着てる XXXXXが不気味である

記憶:
僕らは、奇妙な存在だ。
自分が生きていることにさえ、どうしようもない違和感を覚える、奇妙な存在。
そんな奇妙な存在から生まれる僕が、同じく奇妙でないわけがなかった。



梯子を下りると、エリア02に移動できる。


 □エリア02「コンピュータールーム」

梯子を下り切ると、そこはいくつものモニターが並ぶコンピュータールームになっていた。
薄暗い部屋にパソコンが規則的に並んでいる。
画面の中では無数の英単語がスクロールしている。
通路の奥には扉があるが、ロックがかかっており、横のパネルにはパスワードを要求する画面が出ている。
パスワードのヒントは並んだパソコンにあるようだが…。

  ▼クエスト「パスワードを探せ」
判定:【技術】
※パスワードは9文字のアルファベット。必要成功度1ごとに文字が4箇所明らかになる。

1:▪m▪t▪n▪s▪
2:e▪p▪i▪▪▪s
3:▪▪▪▪▪▪e▪▪

パスワード:emptiness (空虚)

達成:
扉にパスワードを打ち込むと、電子音と共にロックが解除される。
開いた扉の奥から、うっすらとフレーズが聞こえてくる。
記憶を垣間見る。脅威①を公開する。

フレーズ:
XXにもなれないままで XXXXX逃れてるだけ

記憶:
記憶というのは、それ自体がひとつの世界であると言える。
それを『電子信号』とするか、『ウタ』と呼ぶかの差でしかない。それだけのことだ。
それならば、それがひとつの空間を示すとしても、何ら不思議はないことだ。

通路の奥に進むと、エリア03に移動する。


 □エリア03「守護者の間」

通路の先は少しひらけた空間になっている。
燭台に灯る炎が辺りを薄く照らしている。

空間の壁沿いには、2メートルはあろうかという招き猫が鎮座していた。
招き猫の後ろの壁には穴が空いているのがわかるが、そのままでは通れそうにない。

招き猫は突然しゃべりだす。
「あんたら、この先に行きたいんか?
 せやったら、ワイの質問に答えてもらおかな」
「あんたらは、『性悪説』って信じるかいな?
 よく言うやろ、人は元来弱くてもろうて愚かしゅーて、どーしようもないやつっちゅーあれや。
 あれ、あんたらはどう思っとるんや?」

  ▼リクエスト「性悪説を信じるか?」

達成:
「ほーん。そういうやつなんやな、あんたらは」
「ええわ。どっちであれ、それをはっきり言えるんやったら問題なかろ。
 せやけど、せいぜいこの先に行って後悔すんなや?」
招き猫はそう言って地響きと共に横移動する。
その後ろの壁にはトンネルがあった。
招き猫の鼻歌によってフレーズを獲得し、記憶を垣間見る。
脅威④を公開する。

フレーズ:
あれいつからここにいるんだっけ いつまでここにいられるんだっけ

記憶:
全ての生物は、いずれ必ず、崩壊へと帰結する。
その目的を考えたことのない存在だけが、きっとこの世で笑えるのだ。そうに違いなかった。
この世界をデザインしたやつは、どうしようもなく悪趣味に違いなかった。

トンネルの先に進むと、エリア04に移動する。

 

  □エリア04「はじまりの場所」

その場所には、真っ白な床が広がる場所だった。
「あれ、なんだろうね?」
突然、ユウラが何かに気付いたように走り出す。
ユウラが走っていった先、そのエリアの中央に黒い水たまりがあり、その上に輪郭のぼやけた何かの『影』が浮いていた。
ユウラはPCたちに背を向けたまま、その『影』を興味深げに見ていた。

以降、情報カードを見たPCはユウラに奇襲を仕掛けることができる。
奇襲を仕掛けたか否かで、以降の展開を分岐させる。



◆PCがユウラに奇襲を仕掛けない

ユウラは『影』に手を伸ばす。
そして『影』の首根を掴み、『影』がユウラに取り込まれていく。
その間際、『影』が抵抗する様子と共に歪なフレーズが聞こえてくる。
記憶がPCたちに浮かび、脅威⑤を公開する。

フレーズ:
千年後XXXXXXけど それでもXXXXXいたい

記憶:
どんな人間にだって、死と忘却だけは平等だ。
いつかはすべての人間が死ぬことができる。いつかはすべての人間が忘れられることができる。
…いずれそうなるとしても、君たちが『今』笑っていることには価値があるのだろうか。


◇セリフサンプル:霧崎 ユウラ
「くっくっく……ふふふふふふ。ご苦労だったねェ、オトダマ使い諸君」
「まんまとこの『ウタ』の再生に協力してくれちゃって。
 これがただのココロダンジョンじゃないとも知らずにさァ」
「そうとも。僕はオトナシなんかじゃない。
 …俺はオトクイ、『奇怪(ジェンリーシュ)』さァ!!」


「あァ……いいぞ、力が……力が満ちるようだァ……!
 こいつさえあれば、お前たちはもう必要ない……ここで潰してやろうゥ!!」

決戦フェイズに移行する。


 

◆PCがユウラに奇襲を仕掛けた

PCの一撃を受け、ユウラが深い傷を負い、その場に倒れる。
「……え、……なん、で……?」
白い床の上に広がる赤が、目に焼き付く。
PCの放ったナンバーの力に呼応し、ネイロの力が集まる。
どこからか、フレーズが響いてくる。記憶を垣間見る。脅威③を公開する。

フレーズ:
千年後XXXXXXけど それでもXXXXXいたい

記憶:
どんな人間にだって、死と忘却だけは平等だ。
いつかはすべての人間が死ぬことができる。いつかはすべての人間が忘れられることができる。
…いずれそうなるとしても、君たちが『今』笑っていることには価値があるのだろうか。


『影』の近くにいたPCは、流れてきたフレーズの気配がその『影』に集まっていくのを目にする。
それと同時に、『影』の輪郭が少しだけ、捉えられるようになった。
……その『影』は、人に近い手足を持っていた。

その時、『影』の近くにいたPCの足元、ちょうどユウラが倒れた場所から放射状の衝撃波が発せられる。
近くにいたPCは中空へと吹き飛ばされる。
「……やれやれ、痛いじゃないか。まさか、いきなり不意打ちしてくるとは」
倒れたはずのユウラが、その服を真っ赤に染めて立っていた。
(PCが奇襲時に攻撃した場所の服は破けており、その下の身体には穴が空いている)

◇セリフサンプル:奇怪
「『霧崎 ユウラ』……それは『僕』の仮の姿だよ。
 『俺』には『奇怪(ジェンリーシュ)』って名前があんのさァ」
「俺は、見ての通りオトクイだ。だが普通のオトクイじゃァない……。
 『普通じゃないウタ』がどうしようもなく好きなのさァ」


「もう少しで、この空間を成す『ウタ』は、ひとつの『命』として完成する……。
 そのために、貴様らのウタの力、ここで示して見せろ!」

  ▼クエスト「戦闘:オトクイ『奇怪』」
判定:【武勇】 必要成功度:6以上
(判定、または介入でサイコロを振ったPCは、その度に【生命力】を1点失う。
 ただし、この効果によって【生命力】は5点未満にならない)

達成:
PCたちはオトクイの撃破に成功する。
「へぇ……やるじゃないか……」
PCたちが放ったナンバーの力に反応して、どこからかフレーズが聞こえてくる。
記憶を垣間見る。脅威⑤を公開する。

フレーズ:
時間は時間は XXXXXXXXXX
ゴミ溜めでXXXXXX 星空を眺めてるよ

記憶:
結局のところ、僕にできることなんて何もなかった。
僕はまだ、『人の雑多な思考』から生まれた、空虚な存在でしかない。
この物理世界では、まだ物理的存在でない『僕』にできることは、何もない。

聞こえてきたフレーズが、『影』に集まっていく。
それに伴って、『影』の輪郭がはっきりと見えるようになる。
『影』は、黒いもやの中に、人の形を完全に成していく。
(イベントカットを公開する)


「……ようやく、完成したな……
 俺は……お前を喰らうために……ここまで……」
それだけ言い残し、オトクイ『奇怪(ジェンリーシュ)』は消えていった。


だが、オトクイが消えた後も、ココロダンジョンが消えることはなかった。

◇オトダマに聞いた場合、以下のことを教えてくれる。
 「きっとこのココロダンジョンは、あのオトクイによって作られたわけじゃなかったんですよ」
 「元々、この『ウタ』は不完全だった。継ぎ接ぎだったんですよ。
  だから、オトクイが食べる前から穴だらけだった。
  その隙間に広がっていたのが、このココロダンジョンだったんじゃないでしょうか」


『影』は表情のない顔をPCたちに向ける。
そして、静かに一言、こう言った。

「――破壊」

その直後、黒いもやが触手の如く、PCたちに襲い掛かる。
……とても、話を聞いてくれる様子ではなかった。
決戦フェイズに移行する。

 

 

 □決戦フェイズ

「奇怪(ジェンリーシュ)」または「名もなきウタ」
どちらと戦うかはエリア04での行動次第。

 

 

 □終了フェイズ

PCの攻撃によって、オトクイor『影』はバラバラに溶けていき、やがて完全に消えた。
それが消えるのと同時に、ココロダンジョンそのものも少しずつ、溶けて消えようとしていた。
……だが、オトクイを倒したときのそれとは異なり、PCたちやオトダマたちの身体までも、その輪郭が溶けようとしていた。

◇セリフサンプル:オトダマ
「このココロダンジョンは、オトクイによって食べられてできたわけじゃない。
 今この『ウタ』は、回復するどころか消えようとしているんだよ」
「このままじゃ、ウタの消失に巻き込まれて、私たちも消えちゃう。
 少しでも現実世界に近い場所まで行って、ここから脱出しないと」

  ▼クエスト「消えゆくウタからの脱出」
判定:【日常】 必要成功度:5以上

達成:
PCたちはエリア01まで戻ってくることに成功する。

◇セリフサンプル:オトダマ
 「ここからなら、私たちの誘導でココロダンジョンの外に出られるかも。
  しっかりつかまってて」

脱出間際、PCのうちの1人が、『影』を目にする。
『影』はそのPCにだけ聞こえるように、こう言った。

「僕は、人の弱きココロそのもの。
 お前たちのココロに、ずっといる」

 

 




このシナリオをクリアした初音ミクが自分のオトダマのPCは、
「ぼくらはみんな意味不明」が習得可能になる。


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