2018年3月31日土曜日

初音ミクTRPG「ココロダンジョン」自作シナリオ『Leia』テキスト全文

初音ミクTRPG「ココロダンジョン」のセッション用に自作したシナリオ「Leia」のシナリオテキストを掲載してみる。
シナリオをお探しの方の利用はご自由にどうぞ。
(改変等もご自由に。利用については自己責任でお願いします。あと作者騙りはやめてくださいね)

実際のプレイ時にはフレーズや脅威名に歌詞を引用するが、インターネット上の公開ではNGなのでその点はご容赦いただきたい。


他のシナリオはこちら
http://yualismemo.blogspot.com/2018/07/trpg.html


◆モチーフ曲



★ポイントまとめ

シリアスかつ格段に重いシナリオです。特に終了フェイズの選択はPCにもPLにも重い選択を迫ります。

・PCの『遊び』を許容する余地がない反面、真摯に取り組むPLには深く刺さるかもしれません。

・GMとしては単に「ハッピー/バッド」で恣意的にせず、PCの選択を尊重しましょう。

 



このシナリオはPC平均レベル4を想定しています。

◆オトナシについて

オトナシは5~6歳ほどの少女。名前は「センカ」。
このNPCは、「研究所の実験」によって体内にオトクイを宿しており、
表に出ているのが「センカ」であるか、「オトクイ」であるかで一人称が変化する。
(「センカ」のときは「わたし」、「オトクイ」のときは「僕」)
また、実験による一体化以降は、両者は記憶を共有している。
ただし後述するオトクイの死亡時は、センカからオトクイに関する記憶は失われる。

制圧作戦時、および記憶の追体験時(エリア03)はセンカが表に出ており、
ココロダンジョン内で追体験時以外はオトクイが表に出ている。
また、記憶はすべてセンカの視点。


◆ココロダンジョン

 □導入フェイズ

PCたちは意識を失っており、暗い檻の中で目覚める。
PCたちはいずれも、昨夜自室で寝て以降の記憶がない。
そんなPCたちに、NPC「センカ」が話しかけてくる。
(このNPCには苗字はない。捨て子であり、生まれた直後から研究素材でしかなかったため)
「ねぇ、大丈夫? 〇〇おにいちゃん(おねえちゃん)。
 …よかった、目が覚めなかったらどうしようって思った」
センカはなぜかPCたちの名前を知っている。
ボロボロの服を着ていて、右足には鎖のついた足枷がある。
PCたちのスマートフォンには、身に覚えのないメールが2通届いており、内容は文字化けしておりほとんど読めない。
(部分的に「制圧作戦」「オトクイ」などの文字が読み取れる)
オトダマたちが、ここは既にココロダンジョンの中だと教えてくれる。
活力の決定、倹約判定、アプリの購入を行う。

 ◆ココロダンジョンについて

このシナリオの初期タイムは「2」で固定。
タイムを消費することで、間奏アクションを行える。
間奏アクションでは「休憩」「術式」「調査」が行える。
(「調査」は情報カードの公開以降)

タイムが「0」になったとき、決戦フェイズが開始される。
逆に、それ以外で決戦フェイズが開始されることはない。
(タイムが0になる=オトナシに時間の猶予がなくなったとき、オトクイが引きずり出される)

 □エリア01「檻」

PCたちは全員、檻の中にとらわれている。
この檻の中には何もない。また、空気はよどんでいる。
何をするにしても、まずはここから脱出するべきだろう。

  ▼クエスト:「檻からの脱出」
判定:【技術】 必要成功度:1以上

達成:
PCたちは檻のもろい部分を叩き、脱出に成功する。
PCたちが脱出し、通路の奥へと向かうと、
扉の上に設置されていたスピーカーが鳴る。
その音で、PCたちはフレーズを獲得する。
オトナシの記憶を垣間見る。脅威①を公開する。

フレーズ:
微笑がXXX XXXXX前に
XXを閉じ込めたよ 馳せるXXXXX

記憶:
暗がりに置かれた、ふたつの檻。
誰かのすすり泣く声がする。
そこに、誰かの声が聞こえる。
「こうして、僕たちが顔を合わせて話せるのは、きっとこれが最後だね」



未達成:
全員で協力し、檻からは脱出できたが、要領が悪かったようだ。
ひどい疲労感を感じる。PC全員はストレスを1点受ける。

⇒共通
情報カード「根拠のない希望」を公開する。
これ以降、PCたちは間奏アクション「調査」を行うことができる。
調査を行い、判定に成功したPCはその裏面を見ることができる。



 □エリア02「研究所」

扉から続いているのは、どこかの研究所だった。
あちらこちらから、嫌な気配が漂っているのを感じる。
道が四方に続いており、どこが出口なのかはわからない。
(センカも出口の場所についてはわからないと言う)
出口を探し、PCたちは研究所を彷徨う。

  ▼クエスト「出口を探して」
判定:【霊力】 必要成功度:1以上

達成:
PCたちは探索の末に、ロビーにやってくる。
ロビー正面には扉があり、鍵はかかっていない。そこから、外に出られそうだ。
扉の奥に広がっていたのは、何もない、真っ白な空間だった。
オトナシのココロの中には、この研究所以外、何もなかったのだ。

そして、どこか遠くからメロディのような何かが聞こえてくる。
フレーズを獲得する。記憶・脅威②を公開する。

フレーズ:
望むならXX XXX嘘
XXならXXX 聞かせて

記憶:
にわかに、檻の外が騒がしくなった。
誰かが、檻のある部屋に入ってくる。それもひとりじゃなく、数名。
そして、彼らはわたしに向かって、手を差し伸べてきた。



フレーズを聞いたPCたちは、その時思い出す。
ここに来るまでの、忘れていた記憶を。
(文字化けしたメールが復旧し、読めるようになる)


※エリア03は、PCたちがココロダンジョンに突入する前の出来事の追体験。

 □エリア03「記憶:制圧作戦」

PCたちは開かれた檻の前にいた。
(記憶で見た檻と同じ場所)
PCたちの近くにはセンカがいる。やや緊張した様子で、こちらをうかがっている。
「おにいちゃんたち、だれ…?」

その時、PCのうち誰かのスマートフォンが振動する。
そこにはノイズからの連絡があった。
「『被害者』を発見したグループは、その様子に注意しながら、
 研究所外まで連れて脱出すること」

PCたちがセンカを連れて行こうとすると、センカはそれについていく。
その際、センカはこのような質問を投げかけてくる。
「ねぇ、おにいちゃんたち。
 どうして、こんな危険なところに、わたしを助けに来てくれたの?」

  ▼リクエスト「少女を助ける理由」

それを聞いたセンカは、少しだけ安心したように、笑う。
「…ありがとう」
そして、センカの内側から、優しくフレーズが聞こえてくる。
記憶を垣間見る。脅威③を公開する。

フレーズ:
君のXXXXせて 澱むXXXXX
偽りのXXXXXX 塗りつぶしてくんだ
今日も

記憶:
研究員が放ったナンバーの力が、センカにぶつけられる。
少女はうずくまり、その場に倒れる。誰かのうめき声だけが虚しく響く。
「やはり。オトクイの力を維持しながら、人であるためにオトダマの力では倒せない……か」





 ◆情報カード「根拠のない希望」を公開した場合

PCがセンカにこう告げる。
『大丈夫。きっと君を助け出してみせる。
 そうすれば、君の体だってよくしてもらえるから』
センカはそれを聞いて、少しだけ安心したような表情になる。
「…ありがとう。すごく、うれしいよ」
センカがPCの誰かの手を取ると、その間で、何かが響く。
PCたちはフレーズを獲得し、記憶を垣間見る。

フレーズ:
心からXXXX XXXをちりばめて
君のXにXねた XXは遥か

記憶:
「ごめんね。僕のせいで、君をこんなに苦しめて」
センカはその言葉を強く否定する。
「あなたの力がなければ、この体は保たなかった。
 例え、わずかな抵抗だったとしても。これは、あなたのおかげだよ」




研究所内の構造はココロダンジョン内と同じであり、
エリア02のクエストに成功していれば、PCたちは迷いなくロビーまでやってくることができる。
PCたちが脱出し、ロビーまでやってくると、
突如、そこにおびただしい数のオトクイがやってくる。
オトクイたちは、ただ乱暴に、その場にいるものに襲い掛かってくる。

  ▼クエスト「戦闘:混沌と化す研究所」
判定:【武勇】 必要成功度:5以上

達成:
オトクイを蹴散らそうと奮闘するPCたち。
そのとき、PCたちのウタの力に反応して、センカの体が光る。
PCたちは、センカの内側に作り出されたココロダンジョンへと引き込まれていく。
光の奥で、PCたちはオトナシの記憶を垣間見る。

記憶:
度重なる「研究」の末、センカの体はボロボロだった。
手足の感覚は既になく、視界はほとんど潰れ、幻聴だけがリフレインする。
…誰かが、呼んでいる気がする。
その声は、ずっと、わたしの励みで、私の呪いだった……。

記憶の奥から、フレーズがぼんやりと、頭の中に響いてくる。

フレーズ:
もうXXXX笑って もうXXXX祈って
XXXXXならもういっそ 僕をXXXX



 □エリア04「虚の空間」

気付けば、PCたちは元の空間に戻っていた。

周囲にあるのは、真っ白な空間。
ここには、なにもない。
なにをすることもできない。

タイムが「0」になったとき、決戦フェイズに移行する。


 □決戦フェイズ

突如、PCの周りの空間が割れるように崩壊する。
そこから、黒いもやがなだれ込むように襲い掛かってくる。
それらは生き物のように、センカの周囲を包む。
「…ごめんね。もう、僕は限界みたいだ」
「お願いだ。どうか、君たちの手で…僕を倒してくれ」


このオトクイは生命力が1未満にならない。
この戦闘は、オトクイの生命力が「1」になった時点でPC側の勝利となる。

 □終了フェイズ

戦闘後、オトクイは地面に倒れこむ。
動くことなくその場に手足を投げ出している。
「…やっぱり、僕はオトダマの力では倒せないみたいだ。
 だって、この体は人間そのものなんだから。
 …だから、人間と同じように…僕を殺してくれ」

PCが何らかの方法でオトクイを殺したかどうかで、以降の展開を分岐させる。

オトクイを殺した場合、それに合わせてココロダンジョンが崩壊し、PCたちは現実世界へと帰還する。
オトクイを殺さなかった場合、オトナシは消滅し、現実世界ではオトナシはいなかったことにされる。

ココロダンジョンの崩壊後、PCたちは研究所のロビーで目が覚める。
(オトクイを殺した場合、PCの隣にはセンカが寝ている。
センカは目が覚めても、まだぼんやりしている。
センカは一命を取り留めるが、自身の中にいたオトクイの記憶を失っている。
「わたし…だいじなだれかを、忘れちゃった気がする」)

(オトクイを殺さなかった場合:PCたちの誰かが、センカの姿を見たような気がする。
 それが消えた直後に、センカの声が聞こえる。
 「ありがとう。助けに来てくれて、わたしはうれしかったよ」
 暖かなその声を最後に、彼女の声も姿も、二度と現れなかった)

ロビーからノイズのスタッフが数名、PCたちのもとに駆け付けてくる。
「君たち、大丈夫か?」
(オトクイを殺した場合:「…どうやら、ココロダンジョンに引き込まれたらしいな。
 すぐに手当てをしよう。その子も、一緒に連れて行くよ」)

それからほどなくして、PCたち全員に、
『研究所の制圧に成功し、付近一帯は警察によって封鎖された』旨の連絡が届く。


どちらの展開においても、オトナシがPCたちの選択によって部分的に救われた点は変わらないため、
経験値表の「冒険」は通常通り獲得する。





このシナリオをクリアした巡音ルカが自分のオトダマのPCは、
「Leia」が習得可能になる。

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