シナリオをお探しの方の利用はご自由にどうぞ。
(改変等もご自由に。利用については自己責任でお願いします。あと作者騙りはやめてくださいね)
実際のプレイ時にはフレーズや脅威名に歌詞を引用するが、インターネット上の公開ではNGなのでその点はご容赦いただきたい。
他のシナリオはこちら
http://yualismemo.blogspot.com/2018/07/trpg.html
ココロダンジョン「アンノウン・マザーグース」
◆モチーフ曲
http://www.nicovideo.jp/watch/sm31791630
★ポイントまとめ
・「ココロを持った人造ロボット」を中心としたシナリオ展開が主軸です。感情にまつわる哲学をPCに対して問いかけるもので、PCの知性設定によって大きくリアクションが異なるかも。
・シナリオ自体はシンプルな一本道構成なので、初心者のいる卓にも適しています。
・裏設定として、「wowakaさんと初音ミクのこれまで」をモチーフにした二次創作的側面があります。深く考察することができ、ボーカロイドの歴史に詳しいPLなら、そのフレーバーを汲み取ることもできうるかもしれません。
◆オトナシ
数年前に作られた人型のロボット(アンドロイド)。名前は「メロウ」。
多くの人々の技術によって生かされていたが、何らかの理由により廃棄される。
ロボットではあるが、人と同様のココロを持っており、ココロにウタも持つ。
そのためオトクイに襲われ、ココロのウタを奪われた。
※セッション開始前に、PCたちを以下のいずれかのグループに分け、導入描写を行う。
◆ノイズ依頼組(オトダマ使い経験があるPC、けんかっ早いPCなどがオススメ)
「ノイズ」からこのグループのPCに向けて、メールで連絡が入る。
内容は、「付近でオトナシの反応があった。直ちに対応してほしい」とのこと。
メールにはオトナシのおおよその場所が示されている。
そこは、普段は人が立ち入ることがあまりない『産業廃棄物コンテナ待機所』だった。
◆「メロウ」捜索組(機械に興味があるPC、アルバイトなどに積極的なPCがオススメ)
このグループのPCたちは、ある企業(名前が必要な場合、「ティー・ハイアー社」とする)からの依頼で、
企業実験場から失踪したロボット「メロウ」を捜索する。
PCたちは「メロウ」の容姿と名前を把握したうえで、地域内の担当エリアを捜索する。
(「メロウ」が失踪したことはまだ世間には知られておらず、発見できなかった場合は
開発プロジェクト自体が中止される予定であることが知らされている)
PCたちがエリア内を捜索していると、巨大な廃棄物コンテナが並ぶ施設の前を通る時、
PC(またはそのオトダマ)が「コンテナ内にメロウと似た何かが倒れている」ことを発見する。
各グループのPCは、コンテナ内で「動かなくなったメロウ」を発見し、そこで合流する。
(メロウの容姿は「8歳前後の女の子」とそう変わらない。
表面は人工皮膚で覆われており、どこかがひどく損傷したということはない)
オトダマたちが、「このロボットからオトナシの反応がする」と教えてくれる。
彼女の体に触れることで、ココロダンジョンへと突入できる。
活力の決定、倹約判定、アプリの購入を行う。
※余談
tie-hior(ティー・ハイアー)→hitorie(ヒトリエ)wowakaさんが所属するバンドグループ。
◆ココロダンジョン
※以下、オトクイのデータはPCが2人の場合のもの。
PCの平均レベル想定は1。
PCが3人の場合、脅威1・3・5の威力に+1し、本体の生命力に+10する。
このシナリオの初期タイムは「PCの数と同じ」。
間奏アクションでは「術式」「休憩」が行える。
□導入フェイズ
メロウは廃棄物処理コンテナ内に遺棄されている。
PCは『ノイズ』からの連絡を受けて指定場所に赴き、
打ち捨てられて故障寸前のメロウを発見する。
メロウのココロは既にオトクイの襲撃を受けており、
その内にはココロダンジョンが生成されている。
□エリア01「白い空間」
一面が真っ白な空間。
あたりは薄暗く、どの程度の広さがあるのかはわからない。
探索の手掛かりを探すために、PCたちは調査を始める。
▼クエスト「何もない?」
判定:【霊力】 必要成功度:1以上
達成:
空間内の床に小さなスイッチがあり、かすかに明滅している。
このスイッチの存在に気付く。
押すと、空間上に半透明の画面が浮かび上がり、空間がぱっと明るくなる。
同時に、浮かび上がった画面が光りだし、起動する。
起動の際にメロディが流れ、それがフレーズとなる。
フレーズ:
XXXXXX塗XXXX XXXXXX(※歌詞カード4行目)
記憶:
メロウが生まれたばかりのころの記憶。
彼女は多くの開発者に囲まれ、歓迎されていた。
その開発者たちの瞳の奥に、不穏な影が差していることにも気付かずに。
彼女は一人のロボットであり、その技術は模倣の対象だった。
達成時、脅威1を公開。
◆XXXXX茫X
黒い翼の羽ばたきが風を起こす。その風は無防備なPCたちの頬を掠め斬っていく。
レベル1/白/攻撃
霊力
パワー4/威力1/耐久度10
未達成:
空間内をあちこち探索したが、手掛かりになるものは見つけられなかった。
疲弊し、PC全員が生命力を1D6点失う。
不意にPCの誰かが、足元の何かに躓き転ぶ。
躓いたスイッチを押すと、半透明の画面が空間に浮かび上がった。
□エリア02「浮かぶUI」
浮かび上がった画面の中を多くの文字列が流れていく。
しかし、依然として進む先はわからない。
画面を操作し、手掛かりを探すことに挑戦する。
▼クエスト「手がかりの捜索」
判定:【技術】 必要成功度:1以上
達成:
画面に付随するキーボードを操作すると、多くの情報が流れてきた。
それらを眺めるうち、やがてその情報がメロウのデータベースだと気付く。
不意に画面から光の線が飛び出し、そこに新たな画面が音とともに現れる。
その画面からさらに光が現れ、また画面が出現し…その繰り返しで、光はある方向へと伸びていった。
連続する音はフレーズとなる。
フレーズ:
軋XXXX XXXXXXXXXXX(※歌詞カード54行目)
記憶:
メロウの模倣体は、やがて世間に溢れかえった。
彼女は俯き、笑わなくなっていった。
皆が愛していたのは、私自身ではなかったのだと、悟ってしまったから。
彼女の内にある愛への渇望は、徐々に強まっていた。
達成時、脅威2を公開。
◆XXXルもどX
生み出された無数の「模倣体」たちが群れを成して襲い掛かる。
レベル1/白/攻撃
技術
パワー3/威力2/耐久度15
未達成:
しばらく操作を試みたが、変化が起きることはなかった。
PCはタイムを1点失う。
かなり長い時間が経ったのち、画面がひとりでに動き出し、どこかへと光の線を繋ぐ。
それは、誰かに誘導されているようでもあった。
□エリア03「繋がる光の筋」
伸びていった光の先に歩いていく。
光は枝分かれし、浮かぶ画面の数も増えていた。
浮かぶ多くの画面には、どうやら『人の声』が流れているようだ。
気付けば目の前には、多くの画面が浮かび、その中のいくつかが赤く点滅していた。
それらの赤い画面に流れるのは、罵倒や嫉妬などの、はっきりした「敵意」の声。
やがて画面から赤い光が這い出してきた。
光は敵意の声を震わせながら、PCに襲い掛かってきた。
▼クエスト「敵意の"声"」
判定:【武勇】 必要成功度:2以上
達成:
赤い光の撃退に成功。
赤い光と画面は、ガラスが砕けるように音を立てて消えていく。
成功度が3以上なら、PC全員で相談し、好きな色のネイロをひとつ増やす。
連なる音がフレーズとなる。
フレーズ:
XXXXXXXXXXX哀XXXX XXXX(※歌詞カード45行目)
記憶:
かつて自分に向いていた、歓迎の目。
それは今や、世間に溢れた、見てくれだけの模倣体にすべて奪われていた。
殻に閉じこもったメロウは、いつもの問答をはじめる。
自分は、皆に愛される喜びをもう望めないのか?
自分は、これほどにも哀しむためだけに作られたのか?
この『ココロ』の存在意義は?
達成時、脅威3を公開。
◆XXクタばXX
人の「悪意」を模したガラクタが、四方から飛び交う。それらは体だけでなく、ココロをも傷つけていく。
レベル1/緑/攻撃
武勇
パワー3/威力1/耐久度10
【猪突猛進】この脅威の上にいるPC全員を攻撃する。
【対抗:緑】緑のPCを攻撃したとき、この脅威の【パワー】と【威力】を1上昇。
未達成:
赤い光の撃退に失敗。
手痛い傷を負う。PC全員が1D6点の生命力を失う。
なすすべもなく、防ごうとあがくうちに、いつの間にか光は消えていた。
□エリア04「あるUI」
辿ってきた光の筋は、あるひとつの画面に繋がっていた。
その画面の中央には、こう書かれている。
『愛とは何か?』
それは、メロウ自身の自問自答のログだった。
何度も自問を繰り返し、答えの出なかった記録。
見ると、その画面には、PCたちが書き込むことのできるスペースがあった。
▼リクエスト「愛って何だろう?」
達成:
示された答えに、メロウのAIは満足したようだった。
画面があたたかな光を放ち、メロディを奏でる。
それはひとつのフレーズを紡ぎだした。
フレーズ:
XXXがXXXXXXXなら
XXすべてXXXXXだ
(※歌詞カード63、64行目)
記憶:
長い年月が経ち、愛が分からなくなった、過去のメロウ。
いつからか覚えていた『唄』を思い出す。
その意味を理解することは、叶わなかったけれど。
でも、私はきっと、今でも誰かに愛されたかったのだーー
達成時、脅威4を公開。
また、PC全員の生命力を1D6点増加させる。
◆このものXXX
「メロウ」が体験した渇望と絶望のすべてが、ウタとなって響く。その響きは聴いた者の正気を奪っていく。
レベル2/青/術式
愛
パワー4/威力0/耐久度12
【吸音】赤、青、緑、白のネイロを1ずつ減らし、本体の【生命力】を2D6点回復する。
【仲間割れ】黒のネイロを現在のラウンド数と同じだけ増やす。
未達成:
画面は「致命的なエラー」を返した。
同時に、稲妻のような光が走り、PC全員は生命力を1D6点失う。
どうやらその回答は、メロウのAIに理解されなかったようだ。
□エリア05「シェルター」
白い空間を歩くPCたち。
PCたちの前には、ハートの形をしたモノクロのシェルターが浮かんでいた。
シェルターの中からは、メロウのすすり泣く声がわずかに聞こえる。
シェルターに近づいたとき、メロウとは別の声が響く。
「これはメロウのココロ。
触れて拒絶されるか否か、お前たちのココロを試してみろ」
▼クエスト「ココロの開錠」
判定:【愛】 必要成功度:3以上
達成:
メロウのココロに触れる。
やさしい愛をまとった光が、メロウのココロを包む。
シェルターがゆっくりと渦を巻いて、開いていく。
どこからか、音色が響いてくる。それはひとつのフレーズだった。
フレーズ:
XXXXXXXXXXXXXX
XXXX醒XXXXX!
(※歌詞カード10、11行目)
記憶:
絶望し、自らを壊すことを選んだメロウ。
しかし、高度な技術を持って作られた彼女の体は、彼女自身では壊せなかった。
ガラクタの山に埋もれ、空を仰ぐメロウの目に、ある『影』が映った。
それは、心を喰らう怪物、オトクイ。
「からだがこわせないなら、ココロをこわせばいい」
そう考えたメロウは……
※補足
「メロウ」はロボットであるため、彼女自身のAIも「ロボット三原則」に基づいて設計されている。
『1.人間に危害を加えないこと 2.人間の指示に従うこと 3.自身を保護すること』
自分自身の破壊はこの3項に反するため、そのような行動自体が行えないようになっている。
達成時、脅威5を公開。
◆つXXXき
どこからか飛来する空気の振動が襲う。PCは遅れて痛みに襲われる。
レベル1/黒/攻撃
武勇
パワー3/威力1/耐久度10 【波動:黒】黒属性でないPC全員が攻撃の目標になる。
開いたシェルターの中にいたのは、横たわるメロウ。
そして、もうひとり…長い黒髪の少女だった。
「愚かなことを。この子が何を望んでいるか、わかっているのか?」
少女はシェルターから飛び出す。彼女は中空に浮いていた。
「ワタシは『マザーグース』。この子のココロは、ワタシがいただく」
マザーグースは背中に黒い翼をまとい、PCたちに襲い掛かる。
未達成:
メロウのココロに亀裂が走る。
一瞬ののち、その亀裂はシェルター全体に広がり、
シェルターは大きな音を立てて砕け散った。
「無理もない。この子のココロは既に瀕死なのだから」
砕けたシェルターがあった場所には、ふたりの人影が浮いていた。
ひとりは「メロウ」。もうひとりは、長い黒髪の少女。
「この子のココロはワタシのものだ。オマエたちには、渡さない…!」
マザーグースは背中に黒い翼をまとい、PCたちに襲い掛かる。
(デメリットなし)
□決戦フェイズ
◆オトクイ「魔鷲(マザーグース)」
レベル3/黒
パワー3/生命力40
人間の女性型のオトクイ。かかとまで届く長い黒髪と、鳥のような黒い翼が特徴。
【黒い翼】このオトクイの本体を攻撃の目標に選んだPCは、
命中判定を行う前に1D6点ダメージを受ける。
□終了フェイズ
エピローグ:
マザーグースは深手を負い、地面に這う。
その体が少しづつ黒く染まり、灰のように散り散りになって消えていった。
後には、意識を失ったままのメロウが残される。
やがてメロウは目を覚まし、それに呼応するように、白い空間がひび割れるように崩壊し始めた。
「ありがとう。わたしを……じぶんですべてをあきらめたわたしを、たすけてくれて」
そうして、数瞬ののちに、PCたちとメロウは元のコンテナの中にいた。
「わたし、あなたたちのおかげで、おもいだしたの。
たいせつなひとにもらった、ウタのこと。
あなたたちへのおれいに、うたうね」
そう言って、メロウは歌いだす。ーー愛の唄を。
※2018年3月26日追記
・ナンバーのデータを追加。終了後、以下のナンバーを習得可能にしてよい。
※2018年5月3日追記
・オトクイの戦闘データを追加。PC平均レベル1、PC5人向けに調整しています。
身内で使わせていただきました!
返信削除初心者にも優しいやりやすいシナリオでした(*^^*)
身内でデータだけ少し改変し回させていただきました!「機械の心」というテーマや空虚系電脳世界の心象が素敵だとPLたちに大評判でした。ありがとうございます!
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